デンマークの教会堂②
ベアスヴェド教会 2011年8月12日訪問 コペンハーゲン北郊外
1976年完成 設計 ヨーン・ウッツオン(シドニーのオペラハウスを設計した人)
ベアスヴェド教会は、前回のグルントヴィ教会からそれほど離れていないところにあり、トラムのベアスヴェド駅で降り、大通りに沿って歩く。白樺の木々に囲まれた一見教会らしくないシンプルな白い外壁の建物、道路から回り込むとエントランスがあった。内部は白を基調とした四角の静かな空間、ベンチも白木、ピアノも白。天井は雲のようなうねりを持ち、壁面へとつながっている。
いろいろ話をしてくださったクリスティーナさんは、生まれた日や洗礼日などを登録する教会の事務担当であり、彼女自身も設計者のウッツオンの息子さんと建築を学んだそうだ。
ウッツオンは人柄のとても良い人(He is a lovely man.)であり、昨年(2010年)亡くなったが、彼の息子2人が建築家で事務所を継いでいるという。教会のピアノもウッツオンがデザインしたが、これが彼の最後の作品となった。娘さんはテキスタイルデザイナー、セラミックデザイナーで、教会の床の模様、じゅうたん、カーテン、ガウン、コーヒーカップなどもデザインした。聖壇布や床に白、グリーン、紫、ベージュの花や葉っぱの模様が印象的で、礼拝堂にはやわらかい光が注がれていた。
礼拝出席は20~70名、クリスマスは約400名とのこと。
ここで昼過ぎから3時半まで約2時間も過ごし、帰りにヨーン・ウッツオンの“I am inspired by the clouds.”(私は雲から霊感を受けた)というパンフレットを買った。あの天井のうねりは雲を見てひらめいたのだろうと思った。
礼拝堂内部
■ FINE ROAD: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)
◇
西村晴道(にしむら・はるみち)
1948年、靜岡県生まれ。一級建築士。法政大学工学部建築学科卒。住友建設株式会社入社・退職し、アメリカ合衆国ソービック建築設計事務所短期留学を経て、1984年、西村建築設計事務所開設。現在に至る。ルーテル学院大学第10回リード賞(キリスト教芸術分野)受賞。日本福音ルーテル静岡教会会員。著書に『FINE ROAD―世界のモダンな教会堂をたずねて』(イーグレープ)。