デンマークの教会堂⑦
ヘアレウ教会 Herlev Church
2011年8月16日(火)訪問 場所 デンマーク ヘアレウ Herlev
建設 600年前 レトラーセン元日本宣教師の教会
伝統的な「煉瓦ゴシック様式」の世界遺産ロスキレ大聖堂に似た優美な教会
からりと晴れたさわやかな朝、レトラーセン宣教師が迎えに来てくださった。コペンハーゲンから車で30分、先生がかつて牧師をしていたヘアレウ教会に着いた。
レンガ造りの教会は落ち着いた威厳をもって建ち、モダンな教会をたくさん見てきた私たちには新鮮な印象を与えてくれた。これがデンマーク伝統の教会だ。実に美しい。繊細な模様のレンガ積みの門と教会、この日の午後訪れた世界遺産のロスキレ大聖堂も同様な門がある。
外観
赤地に白のスカンジナビアンクロスのデンマーク国旗が風に翻っている。午後葬儀があるようで、半旗になっている。
内観
会堂はロマネスク調、正面天井には、父、子、聖霊(はと)の絵。装飾が美しい。入り口の脇に歴代牧師の名前が記されたボードがあり、レトラーセン先生の名前もあった。
天井から帆船の模型が吊るされている。舳先は聖壇を向いている。これは昔グリーンランドへ船で伝道に行ったことに由来する。木造の教会を船に積んで出掛けたという使命感の強さに敬服。
会堂がいっぱいになる日曜礼拝。毎週火曜日にはシニアの集会があり、道路を挟んで向かい側の建物で行われるとのこと。
昔からの伝統的スタイルであり、神の御言葉は天から来る。
レトラーセン先生はルーテル教会の宣教師として津田沼教会で働かれた。80歳を越えているが、車で教会を案内して、日本語で説明をしてくださった。
教会内墓地
敷地内の墓地には、静かに夏の美しい花が咲いていた。
世界遺産ロスキレ大聖堂
2011年8月16日(火)訪問 場所 デンマーク ロスキレ Roskilde
シェラン島ロスキレ市にある「煉瓦ゴシック様式」の大聖堂
コペンハーゲン駅から西へ列車で20分、ロスキレ駅に到着。立派な駅舎だ。ロスキレからデンマークが始まったという。10~15世紀、デンマーク王国の最初の首都として栄えた町。
ロスキレ大聖堂は1170年代にアブサロン大主教によって建てられ、デンマーク王室の女王をはじめ、王族の棺が安置されている。1995年、世界遺産に登録された。12~13世紀のロマネスク・ゴシック様式の混合デザイン。
大聖堂は中央部の両側に高さ75メートルの塔が天に届かんとばかりにそびえ立つ左右対称の外観が目を引く。伝統的なデザインのレンガ造りだ。内部も荘厳な空間となっている。
レンガの門を見て気が付いた。前に紹介したレトラーセン宣教師の教会も、同じような精緻な模様のレンガ門があった。
緑深い散歩道を歩いて、近くの「ヴァイキング船博物館」へ行く。海が見え、観光客のクルーズ船も出ている。一帯はフィヨルドに面した広大な公園。
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西村晴道(にしむら・はるみち)
1948年、靜岡県生まれ。一級建築士。法政大学工学部建築学科卒。住友建設株式会社入社・退職し、アメリカ合衆国ソービック建築設計事務所短期留学を経て、1984年、西村建築設計事務所開設。現在に至る。ルーテル学院大学第10回リード賞(キリスト教芸術分野)受賞。日本福音ルーテル静岡教会会員。著書に『FINE ROAD―世界のモダンな教会堂をたずねて』(イーグレープ)。