英国の有名な推理作家に、アガサ・クリスティという女性がいます。彼女が再婚した相手は、考古学者でした。「女性にとって最良の夫は考古学者だ」と彼女は言いました。なぜならば、妻が年をとればとるほど、夫が興味を持ってくれるから!
結婚当初は“あばたもえくぼ”、妻の短所もかわいらしさ、真綿で包んだ夫だったのに、「私が助けてあげなくちゃ」と母性本能を開花させた妻だったのに、これが恋の果てか!? “丁寧さ”が“のろいやつ!”に、“積極的”が“でしゃばりめ!”に、“頼もしい”が“頑固者!”に、“気さく”が“礼儀知らず!”に、“協力的”が“ごますり、かっこつけて!“としか思えなくなってしまった。
男と女、夫と妻の関係ばかりではなく、全て互いが持っている「罪」の結果です。こうなってしまう究極の原因は、「罪」なのです。「罪」は、英語で「SIN」と書きます。「I」=「私」が真ん中にあります。つまり、「自己中心」が相手を受容することを困難にし、言葉と態度と行動をもって互いを傷つけ、愛の交わりを破壊していくのです。
男女どちらが罪深いかという話題になると、決まって女性の方が悪いとなります。確かに、エバが先に罪を犯し、夫アダムを誘惑したのですからごもっともです。考えてみれば、アダムはいのちをかけてエバに同調し、エバと行動を共にしたのですから、麗しい愛の関係とも見えます。アダムとエバに限らず、私たちの日々の暮らしの中にも、夫婦間、親子間、隣人間に、この関係は結構あり、しばしば美談にもなります。
けれども、一旦事が困難を呈してくると、たちまち責任転嫁の抗争が始まるのです。
50歳以上のエルダー(年配者)世代に、“つながる関係”というテーマで意識調査をした結果が出ています。エルダーが、いえ、どの世代もかもしれませんが、楽しみにしている付き合い方で、コミュニケーションの相手は、1位「子ども」、2位「配偶者」、3位「兄弟、孫」となっています。この中で、男女のギャップが大きいのは、「配偶者」とのコミュニケーションです。男性の67.3%が楽しみにしていると答えているのに対し、女性は46.8%と低く、「夫の片思い」といわざるを得ません。
“事件の陰に女あり”。女性の在り方は、家庭、社会の幸不幸を大きく左右するものです。女性は天使にもなりますし、悪魔にもなり得るのです。これから、聖書の中の幾人かの女性を取り上げて、本当に「賢い女、賢い妻」を生きることに、精を出してまいりましょう。
「しっかりしたことをする女は多いけれど、あなたはそのすべてにまさっている」(箴言31:29)(続く)
■ 賢い女、賢い妻:(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)
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前田基子(まえた・もとこ)
イエス・キリスト緑の牧場教会(東京)で救われ、玉野聖約基督教会(岡山)から献身。生駒聖書学院卒。生駒聖書学院副院長。エリムキリスト教会牧師。ABCラジオ放送「希望の声」・テレホンメッセージ「希望の声」(074・373・3740:ゼロナシ・ミナサン・ミナヨレ)牧師。