長崎県とカトリック長崎大司教区(高見三明大司教)は25日、県庁で記者会見を行い、浦上の隠れキリシタンに関する資料の収集・展示を行う「浦上キリシタン資料館」を長崎市平和町に開館すると発表した。
開館は来年1月を計画しているが、同資料館のプレオープンとして5月5日から6月下旬まで、開館予定の場所で長崎県内の教会の写真展が開かれる。
250年もの潜伏を続けた長崎の隠れキリシタンが、訪日したフランス人神父に信仰告白し、世界的なニュースとなった「信徒発見」(1865年)から来年3月で150年。これに合わせて「浦上キリシタン資料館」の開設が計画された。
浦上出身で東京在住の岩波智代子さんが、所有するマンション1階の店舗スペースを資料館のために提供した。改装して、隠れキリシタンと長崎のキリスト教に関する資料の展示や映像の上映を行うという。
1945年の原爆被害のため、浦上地区には歴史的な資料がほとんど残っていない。「浦上四番崩れ」などキリスト教弾圧の過去を知らない若い世代が増えていることを知った岩波さんは、「一番大切な精神が途絶えてしまう」と、カトリック長崎大司教区に協力を要請した。
運営は長崎市のカトリック信徒たちが協力して行う。5日からのプレオープンの期間中は入場無料とし、教会の写真や歴史を紹介するパネルを展示したり、キリスト教に関する映像を流したりする予定だ。
一方で、来年1月の正式開館に向けて、全国の教会や博物館に浦上に関する資料の提供や貸し出しを依頼する。高見大司教は記者会見の席で、「カトリックの歴史や理解を深められる場所にしていきたい」と抱負を述べた。
■「浦上キリシタン資料館」プレ展示
期間:5月5日(月)~6月下旬
場所:長崎県長崎市平和町11−19 グロリアヒルズ1階
(浦上天主堂から徒歩約5分)
■ 写真パネル展・長崎におけるプロテスタント教会の軌跡
~長崎プロテスタント155年の歩み~
主催:長崎キリスト教協議会
期間:5月1日(木)~5月31日(土)
場所:長崎県長崎市東山手町3−1 東山手甲十三番館
(大浦天主堂から徒歩約15分)