バチカン図書館でこのほど、江戸時代のキリシタン禁制に関する史料約1万点が見つかったことが分かった。これほどの規模のキリシタン関連文書は、国内では確認されていないという。日本の研究チームとバチカンが2014年度から6カ年計画でデータベース化を進め、インターネットでの公開を目指す。
今回見つかったのは、1932年から50年まで大分地区に在任したイタリア人神父、マリオ・マレガ氏(1902~78年)が集めた臼杵藩(現大分県)などの文書群。世界的にも厳格とされる江戸幕府のキリスト教禁教システムの解明に役立つと期待される。
マレガ氏は、大分教会の主任司祭を務め、大分市のカトリック海星幼稚園を開園。キリシタンの歴史に関心を寄せ、史料の収集やキリシタン遺跡の調査に努めた。奉行所に連行された信者の動向調査を詳細に報告する文書など、キリシタン禁制に関する貴重な史料を収録した「豊後切支丹史料」を刊行していたが、原本の所在は長い間不明だった。