ローマ教皇フランシスコとイタリア訪問中のバラク・オバマ米大統領が27日、バチカンで会談した。オバマ大統領が教皇と会談するのは、2009年7月に前教皇ベネディクト16世と会談して以来2回目。現教皇フランシスコとの会談は今回が初めてとなる。報道によると、両者は貧困問題などについて意見を交わしたという。
共同通信によると、教皇はオバマ大統領を「ようこそ」と英語とイタリア語で歓迎。米CNNは両者の対面について、「2人の世界的リーダーは、笑顔と握手で互いに面会し、(会談用の)テーブルの両側に座る前には(報道陣に対し)写真のポーズを取った」と、その様子を伝えた。
ホワイトハウスが事前に発表した声明によると、今回の会談の主な焦点は「貧困と拡大する貧富の差へ対する戦い」だという。
アメリカ・カトリック大学政策・カトリック研究所のスティーブ・シュネック所長は、CNNに対して「一般的に言えば、両者はバチカンと(米)政府の間で大きく合意している分野についての対話を求めるだろう」と言い、「教皇は、恐らく大枠で移民問題を取り上げる。そして(米医療保険制度改革法=オバマケア)における避妊の取り扱いについて懸念を示す可能性もあると思う」と語った。
オバマケアでは、雇用主に対して従業員向けの保険で避妊に関わる費用を全額負担することを義務づけているが、雇用主が宗教的信条などを理由にこの負担を免除されるかどうかを巡り、現在意見が分かれている。カトリック教会は避妊を認めていないため、オバマケアにおける避妊に関する部分で立場を異にするからだ。
一方、オバマ大統領は、地元のイタリア紙コリエレ・デラ・セラのインタビューで、経済や社会問題に対して語ろうとする教皇の勇気を敬服していると評価。「すべての問題で我々が一致しているというわけではないが、教皇の声は世界が耳を傾けるべきものの一つだと思っている。教皇は我々に挑戦を投げかけている」「教皇は我々に人々、とりわけ我々の経済的決定に影響を受ける貧しい人々のことを覚えるよう求めている」などと語った。
米国では、来年9月にペンシルベニア州フィラデルフィアでカトリック信者による集い「世界家庭大会」があり、米カトリック教会側は教皇の出席を期待しているという。また、米議会も教皇の米国訪問を求めており、米USトゥデイの報道によると、オバマ大統領も今回、教皇が来年米国を訪問するよう招待したという。