1日に発生した能登半島地震で大きな被害が出ている石川県や隣接する富山県、福井県など中部地域の5県を管轄するカトリック名古屋教区は4日、ホームページで教区内の被害状況について報告した。
報告によると、能登半島北部にある輪島教会(石川県輪島市)と七尾教会(同県七尾市)で被害が大きく、外壁が崩れ落ちたり、室内がひどく散乱したりしている。特に輪島教会は、全壊まではいかないものの、外壁が相当崩れ落ちており、天井の一部が剥がれ落ちたり、祭壇の天板が落ちて割れたりするなどした。
石川地区の司牧者である片岡義博神父が、1日の地震発生直後に現地へ向かったが、その日は道路が寸断されていたため行くことができず、2日になって七尾教会まで行くことができたという。一方、輪島教会については、主要道路に崩落や隆起、亀裂が発生しており、また大きな渋滞も発生していたため、2日も行くことができなかったが、隣接する海の星幼稚園の園長が写真を撮影するなどしてくれたことで、状況が確認できたという。
輪島教会は2007年の能登半島地震による影響も残っているため、片岡神父は「危険な状態ともいえる」としている。海の星幼稚園の園長も自宅が被災し、輪島教会に通うフィリピン人信徒2人も自宅が倒壊する被害を受けた。
七尾教会は現在のところ、建物自体は外壁が一部崩れ落ちたのみでとどまっている。しかし室内は、聖堂や香部屋をはじめ、司祭館兼信徒の交流の場として使用している台所や居間などで、ご像や棚、照明器具、ガラス、食器などがひどく散乱しており、後片付けには時間がかかるとみられている。併設する聖母幼稚園は建物が新しく、外構などが多少崩れただけだったが、室内は本や教材などが散乱。教会、幼稚園ともに電気は復旧しているが、水道は3日時点でまだ回復していないという。
石川地区はこの他、金沢教会、内灘教会、三馬教会、羽咋教会で物品の倒落や破損が発生。小松教会はこれらに加え、鐘楼外壁が多少崩れるなどしたが、いずれも既におおむね片付いている状況だという。
富山地区は、富山教会、魚津教会、高岡教会、小矢部教会の全てで、現在のところ建物自体に大きな損傷は見つかっていない。一方、富山教会は、聖堂や祭壇の装飾をはじめ、室内の至る所で物品の倒落や破損が発生。魚津教会、高岡教会、小矢部教会についても同様に物品の散乱があるという。
3日には、名古屋教区、カトリック中央協議会の緊急対応支援チーム(ERST)、カリタスジャパンのそれぞれの関係者がオンライン会議を開き、状況の確認と今後の方針について話し合った。
名古屋教区としては、ボランティアは現在のところ募集していないが、輪島教会と七尾教会の損傷が激しいことを受け、教区内の教会関連施設の復旧や被災者支援のため、救援金の受け付けを開始することを決めた。救援金は、郵便振替(記号・番号:00810・5・50605、加入者名:カトリック名古屋教区、通信欄に「のと地震」と明記)で受け付けている。
片岡神父による石川地区・富山地区の報告書には、被災した教会の外観や内部の写真、大きな亀裂が入った道路や全壊した民家の写真など、被災地の様子を伝える写真が多数載せられている。
一方、この地震では、日本基督教団輪島教会(石川県輪島市)も大きな被害を受けた。同教団中部教区は地震が発生した1日から現地の被害情報を発信しているが、4日には同教会の新藤豪(つよし)牧師が撮影した写真をホームページに多数掲載。1階部分が完全に押しつぶされた信徒宅や、大きく損壊した教会堂の入り口、散乱した礼拝堂内の様子、亀裂が入ったり、マンホールが飛び出したりしている輪島市内の様子などを確認できる。