1日午後4時10分ごろ、石川県の能登半島沖を震源とするマグニチュード7・6、最大震度7の地震が発生した。この地震では、同県を中心に複数の教会で被害が出ており、各教会の所属教団や教区が被害情報を発信している。
日本基督教団
日本基督教団の石川県内の教会では、輪島教会(輪島市)が、会堂の一部が倒壊する大きな被害を受けた。同教団中部教区の1日午後10時時点の情報によると、同教会では隣接する家屋が倒壊したことで、牧師館も壁に穴が空く被害を受けた。同教会の新藤豪(つよし)牧師のほか、教会員の数人が避難所に避難しているという。
羽咋(はくい)教会(羽咋市)の富来(とぎ)伝道所(志賀町)では、地震発生時、立っていられないほどの激しい揺れと地響きがあったという。この揺れで給湯機の室外機器が倒れ、会堂内は物が散乱した。志賀町では、道路の隆起や地割れ、土砂崩れが発生したという。
羽咋教会や、いずれも金沢市内にある桜木教会、金沢教会、金沢元町教会、金沢南部教会は、揺れにより書籍や食器が落ちるなどの被害はあったものの、これまでのところ会堂への大きな被害は報告されていないという。
同教区の2日午前10時時点の情報によると、七尾教会(七尾市)は、隣接する七尾幼稚園を含め、建物に大きな被害はなかったものの、外壁に亀裂が入ったり、内壁の剥離や落下が発生したりした。幼稚園の教師の中には、自宅が全壊した人もいるという。一方、七尾幼稚園は、主に高齢者や体の不自由な人々向けの臨時の避難所となり、一時約100人が宿泊した。避難者の中には、帰省中の家族も7、8組いたという。
富山県内の教会は、1日午後10時時点で被害の報告は入っていない。福井県内の教会は、県内にある7教会全てで建物に被害はなく、牧師やその家族も無事だったという。
同教団関東教区の災害対応掲示板によると、新潟県内の教会では、東新潟教会(新潟市)が「信徒宅の被害はありませんが、牧師室の書類などの散乱、破損はひどいです」と報告している。一方、他の教会は「書類の散乱がある程度」(佐渡教会、佐渡市)、「牧師館は物がそれなりに散乱しましたが、何とか大丈夫」(十日町教会、十日町)と、物が落ちたり、散乱したりしたという報告はあるものの、会堂への大きな被害や教会員の人的被害などは、2日午前11時点で報告されていない。
日本バプテスト連盟
日本バプテスト連盟は、震源周辺の3県に、金沢キリスト教会(金沢市)、富山小泉町キリスト教会(富山市)、福井キリスト教会(福井市)の3つの所属教会があるが、同連盟宣教室がホームページに掲載した情報によると、これまでのところいずれも大きな被害は報告されていない。また、新潟主の港キリスト教会(新潟市)では、大きな揺れはあったものの、被害はなかったという。
イムマヌエル綜合伝道団
イムマヌエル綜合伝道団は、石川、富山、福井、新潟の4県を管轄する北越教区に7つの所属教会がある。同教団のフェイスブックの投稿によると、金沢泉教会(金沢市)では会堂の壁に亀裂が入る被害があり、今後詳細を調査する。金沢教会(同)、富山教会(富山市)、長岡教会(新潟県長岡市)では、書籍や食器、室内の物が散乱した。小松教会(石川県小松市)、福井教会(福井市)は大きな被害はなく、新潟教会(新潟市)はまだ2日朝の時点で詳細な情報が入っていないという。
カトリック教会
日本カトリック司教協議会会長の菊地功大司教(東京大司教区)のブログによると、カトリック教会は、名古屋教区と新潟教区が地震の影響を受けたとみられている。新潟教区は、教会施設への被害が出ていないことが確認できているが、名古屋教区についてはまだ情報が入っていないという。今後、東日本大震災を教訓に定められたカトリック中央協議会の「緊急対応支援チーム」(ERST)が、カリタスジャパンと協力し、名古屋教区と連携の上、現地の状況確認を進め、カトリック教会としての対応を決めていくという(続報:カトリック名古屋教区が能登半島地震の被害報告、輪島教会と七尾教会で外壁崩れ落ちる)。
OM日本
宣教団体「OM日本」は、フェイスブックの投稿によると、石川県では4組の宣教師家族と1人の宣教師、富山県では1組の宣教師家族と1人の宣教師が活動しているが、1日夜までに全員の安否が確認できた。OM日本はその上で、「能登半島には教会のない地域や福音の届いていない地域がたくさんあります。キリスト者の献身的なボランティア活動により、将来、主である神の愛を能登半島に届けることができるように祈っております」とつづっている。