日本基督教団は2日、1日に発生した能登半島地震を受け、救援対策室を設置し、緊急救援募金を始めた。一方、会堂や牧師館に大きな被害を受けた中部教区の輪島教会は、教会員全員が無事だったものの、自宅が全壊した教会員もおり、現在もその多くが避難生活を続けている。
関東教区の災害対応掲示板によると、教団事務局の道家紀一総務幹事は、被災地を管轄する中部教区と関東教区に対し、2日に緊急の役員会を開催したことを報告。救援対策室を設置し、特に大きな被害が出ている中部教区に見舞金を送ることなどを決めた。
教団としての今後の対応は、被害情報の収集も含め両教区を通して実施する。支援委員会の立ち上げなど、常議員会への対応についても、両教区と連携して決定していくという。一方、人道支援は、日本キリスト教協議会(NCC)のACTジャパン・フォーラムや西東京教区の被災支援委員会、学生キリスト教友愛会(SCF)の活動に協力する形で行う方針。
社会委員会による緊急救援募金も、期間や目標額を定めない形で2日から始めた。寄付の使途は、1)人道支援、2)教会等再建支援の2つから選択でき、寄付は郵便振替(記号・番号:00150・2・593699、加入者名:日本基督教団社会委員会、通信欄に「能登半島地震緊急救援募金」と記載し、寄付の使途を明記)かクレジットカードで受け付けている。同委は「祈りをもってご協力をいただきますようお願い申し上げます」と呼びかけている。
輪島教会、通帳と現金が焼失 教会員の多くが避難生活
この地震で大きな被害を受けた輪島教会(石川県輪島市)は、会堂の一部が倒壊し、隣接する家屋が倒壊したことで牧師館の壁に穴が空くなどした。中部教区の3日の情報によると、教会員は全員が無事だったものの、ほとんどが避難所で生活している。教会員の自宅は2棟が全壊し(うち1棟は火災により焼失)、今後全壊指定が見込まれる家屋も数棟ある。無事だった家屋も、隣接する家屋が倒壊した影響で中に入れない状況にある。7日の礼拝は、一部破損している牧師館でできるよう準備しているという。
輪島教会の新藤豪(つよし)牧師は、「道路に亀裂が入り、寸断されているために、物資などが届いていません」「店には食べ物や飲み物はなく、お菓子とかで食いつないでいます」と、輪島市内の状況を伝えている。また、金沢市から輪島市までは、通常は車で2時間程度だが、現在は道を迂回する必要があり、10時間かかったケースもあるという。さらに、ガソリンスタンドも営業していないため、帰りのガソリンがなくなる可能性もあると伝えている。
七尾教会、幼稚園が臨時の避難所に
一方、七尾教会(同県七尾市)は、隣接する七尾幼稚園が臨時の避難所となっており、礼拝堂も避難者向けに開放している。断水が続いているものの、七尾幼稚園は井戸水が使えるため、トイレはバケツを使って井戸水で流すことができている。2日は約60人が宿泊したが、水や食べ物は必要量が届いているという。
七尾教会は、2007年の能登半島地震で被災した際、全国から寄せられた支援金などで、会堂を改築、七尾幼稚園を一部改築している。同教会の釜土達雄牧師は、「それがため、地域の方々に奉仕をすることができています。本当に感謝しております」と話している。