エリトリアに国境を接するエチオピア北部のティグレ州政府とエチオピア政府のあつれきが深まる中、昨年11月にTPLF(ティグレ人民解放戦線)がエリトリア首都の空港を攻撃したため、エチオピア北部で紛争が拡大するリスクが高まっている。
そんな中、エチオピア・エリトリア連合軍によって800人余りのティグレ市民が虐殺されたとの報告があった。
エチオピア政府は非常事態宣言をし、早々に通信インフラを遮断したため、当初情報がまったく入ってこなかったが、電話がようやく復旧した今、AP通信が報じた目撃者談によると、ティグレの都市アムスクの聖マリア教会では、数百人が虐殺されたという。教会の神父はAPに対して、強姦(ごうかん)と略奪、残忍な大規模虐殺を証言した。
さらに大学講師のゲトゥ・マック氏はエリトリアとエチオピアの兵士が「教会から家へ、家から家へと移動していた人々を、単に路上にいただけで殺した。死体はほとんどすべての街角にあり、どの家でも泣き声があった」と語った。
AP通信によれば、これはエリトリア政府が遺体の埋葬を拒否したためだ。そのため街は死臭で満ち、ハイエナが遺体を食べ始める始末で、動物の鳴き声に悩まされたという目撃者もいたという。
1970〜80年代にかけて、吹き荒れる共産主義からエチオピアを守ったのはティグレ人兵士たちだった。エリトリアとソマリアは、エチオピア側に付いたため、ティグレ州政府はそれらの国々とも対峙(たいじ)しなければならない。
一昨年、エチオピア・エリトリア間の紛争を解決してノーベル平和賞に輝いた聖霊派の熱心な信者でもあるアハメド現エチオピア大統領は、エリトリアとの関係を修復する一方で、北部のティグレを見放したといわれている。
時として政治家には厳しい判断が迫られるが、アハメド大統領に神の知恵が与えられ、問題が平和裏に解決し、エチオピアと周辺諸国にさらに福音が宣布され、救霊の実を結ぶよう祈っていただきたい。
■ エチオピアの宗教人口
プロテスタント 19・2%
正教会 39・5%
カトリック 0・7%
イスラム 34・1%