国際人権団体「世界キリスト教連帯」(CSW)によると、アフリカ東部エリトリアで起訴されることなく、無審理のまま最長で12年にわたって勾留されていたキリスト教徒70人が1日までに釈放された。
CSWの発表(英語)によると、1日に釈放されたのは、首都アスマラ近郊のマイセルワ刑務所とアディアベイト刑務所に勾留されていた男性43人と女性21人の計64人。これらの人々は起訴されることなく、無審理のまま2~12年にわたり勾留されていた。さらに1月27日には、昨年9月にアスマラ南東部のデケムハレで、公共の場で礼拝をしたとして拘束されていたキリスト教徒の女性6人が釈放された。
エリトリアでは昨年12月、エホバの証人の信者24人も釈放されている。その中には良心的兵役拒否で有名なパウロス・エヤスやアイザック・モゴス、ネゲデ・テクレマリアムの各氏らがいた。3氏は実に26年にわたり勾留され続けた。
これらの人々の釈放そのものは歓迎されているものの、エリトリアの狙いは、国境を接するエチオピア北部のティグライ州で続いている紛争に同国が関与していることから国際社会の目を逸らすことではないかとCSWは指摘している。同州では、戦争犯罪につながる恐れのある暴力行為にエリトリア軍が関与している疑いが持たれており、大量虐殺が行われているとの疑いも指摘されている。
CSWのマービン・トーマス創立会長は、キリスト教徒70人の釈放を受け次のようにコメントした。
「CSWは、起訴も裁判もなしに勾留されていたエリトリアのキリスト教徒たちの釈放を歓迎します。(この人たちが)投獄されるとはもっての外です。しかし、この朗報のためにエリトリア政権の長年にわたる人権侵害への関与が覆い隠されてはなりません。同政権は国内および現在のティグライ州で、甚だしい人権侵害に関与し続けています。私たちは、宗教や信条のために恣意的に勾留されたすべての人々の即時かつ無条件の釈放をエリトリアに求めるよう、国際社会に呼び掛けます」
「また、ティグライ州で発生している危機を阻止するための迅速な行動を求めます。戦争当事者には武器の禁輸措置を課さなければなりませんし、エチオピアとエリトリアの指導者たちには制裁を課すべきです。両国には人権侵害の疑いが持たれており、その最終的な責任を取ることが求められますが、その軍事力のために野放しにされています」