米国の新型コロナウイルス感染症による死者が50万人を超えた22日、米首都ワシントンにあるワシントン大聖堂は、大聖堂に備え付けられた12トンの重さがある大きな鐘を500回鳴らし、犠牲者を追悼した。
大統領の葬儀も含め、さまざまな国家行事が行われるワシントン大聖堂は、米国聖公会ワシントン教区の主教座聖堂で、「聖ペトロ聖パウロ大聖堂」の名で知られている。22日午後にはオンラインでその様子がライブ配信(英語)され、さまざまな宗教の代表者が祈りをささげ、メッセージを伝えた。
ワシントン大聖堂のジャン・ネイラー・コープ司祭長は、聖公会の祈祷書の一節から、次のように祈りをささげた。
「私たちのこの地上における巡礼の旅の同伴者として、彼らを知り、愛するために、彼らを私たちにお与えくださり感謝します。あなたの限りない憐(あわ)れみの中で、嘆き悲しむ私たちを慰めてください。 死の中に永遠の命の門を見ることができるように、私たちに信仰をお与えください。そうすれば、私たちは穏やかな確信を持って、この地上における旅を続けることができます。あなたの召しによって、私たちが先に亡くなった人々と再会するまで。私たちの主イエス・キリストの御名で祈ります。アーメン」
また、ワシントンの歴史的シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)「第6・1シナゴーグ」のラビ(ユダヤ教指導者)であるシラ・スタットマン氏は、ユダヤ教の祈りの中でも特に有名な「カディッシュ」と呼ばれる祈りを朗読した。
ワシントン大聖堂は声明で、「これが失われた命の代わりになることはできませんが、私たちは、米国民それぞれがこのパンデミックの犠牲者を追悼するのに、これが役立つことを願っています」と述べている。
ワシントン大聖堂ではこれまでも、新型コロナウイルス感染症による米国内の死者数が節目を迎える度に鐘を鳴らし、犠牲者を追悼してきた。
死者数が30万人を超えた昨年12月14日にも鐘を300回鳴らした。ワシントン大聖堂のランドルフ・マーシャル・ホレリス首席司祭は当時の声明(英語)で、「このパンデミックによる死者数の増加は、心配なほどに日常的なものになっているようだ」とし、次のように述べていた。
「私はこの鐘を鳴らすのに疲れました。私はもう鐘を鳴らしたくありません。これ以上の命を失いたくありません。これが普通だと思ってほしくないですし、これが自由な社会で生きるために払わなければならない代償だと思ってほしくもありません」
「米国では、新型コロナウイルス感染症によるたった1日の死者数が、満員のボーイング737型ジェット機16機分が墜落したのと同じです。私たちはもう限界に達しています」
ジョー・バイデン米大統領もこの日、新型コロナウイルス感染症による死者が50万人を超えたことを受け、ホワイトハウスで演説(英語)を行い犠牲者のために黙祷をささげた。バイデン氏は、死者が2度の世界大戦とベトナム戦争で亡くなった米国人の合計を上回る規模に上っていることに触れ、次のように語った。
「この国は再び笑顔を取り戻すでしょう。この国は再び晴れの日を見るでしょう。この国は再び喜びを取り戻すでしょう。そして、私たちがそうするとき、私たちは失った一人一人、彼らが生きた人生、彼らが遺した愛する人たちのことを思い出すでしょう」
「私たちはこれを乗り越えると約束します。しかし、私の心は皆さんのために痛みを感じています。今、その真っただ中にいる皆さんのために。皆さんすべての上に、特に誰かを失った人々の上に、神の祝福がありますように」