米カリフォルニア州のメガチャーチ「ハーベスト・クリスチャン・フェローシップ」(礼拝参加者1万5千人)で、副牧師を務めていたジャリッド・ウィルソン氏(30)が9日夜(現地時間)、自らの命を絶った。ウィルソン氏は、うつ病などで自殺願望を持つ人たちのための支援活動を行っていたが、自身もうつ病と闘っていたという。さらに皮肉にも、ウィルソン氏が命を断ったのは、世界自殺予防デーの前日だった。
ウィルソン氏の訃報は、主任牧師のグレッグ・ローリー氏が10日、ハーベスト・クリスチャン・フェローシップのホームページ(英語)のほか、自身のフェイスブックやインスタグラムで発表した。
「ジャレッド・ウィルソンが昨夜、主の元に行ったことを報告しなければなりません。非常に深い悲しみであるとともに衝撃です」。ローリー氏はこのように書き始め、「このような時には言葉はありません。聖書は『嘆く時がある』と言っています。今がまさにその時です」と続けた。
「ジャリッドは主を愛していましたし、しもべの心を持っていました。彼は活気に満ち、肯定的で、いつも誰かに仕え、他の人を助けていました。また、ジャリッドはうつ病と闘っていると話していました。彼は自分の闘病について、とてもオープンでした。特に自殺願望を持つ人たちを助けることを願いとしていました。残念なことですが、ジャリッドは自ら命を絶ちました。彼は1年半前にこの教会の副牧師に就任し、心の病について何度も語りました」
「ジャリッドと妻のジュリは、『希望の賛歌』という宣教の働きを始めました。『希望の賛歌』は、うつ病や自殺願望を持つ人たちを支援しています。私たち牧師や霊的指導者は、日常的な痛みや苦しみと縁遠い存在だと皆さんは思うかもしれません。私たちには、あらゆる問題の答えが分かっていると思うかもしれません。しかし、そうではありません。結局のところ、牧師はただの人間です。日々、神の助けと神の力を必要とする者たちなのです」
「私は長年にわたり、人々が最も苦労していることについて話すのを見てきました。クリスチャン人生に暗い時期があるからといって、キリストが十字架上で私たちのためにされたことが取り消しになるわけではありません。ローマの信徒への手紙は私たちに教えています。『どんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスによって示された神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのです』(ローマ8:39)」
「このような時、私たちはクリスチャンとして、次のことを覚えておく必要があります。それは、私たちが説明に基づいて生きているのではなく、約束に基づいて生きているということです。私たちは分からないことに頼るのではなく、分かっていることに頼ります。私たちに分かっていることは、ジャリッドがイエス・キリストを信じていたということです。そして彼が今、天国にいるということです。私たちは、ヨハネの黙示録21章4節の、天国には悲しみも苦しみも死もないという約束に立っています」
「ジュリと、ジャリッドの遺族のために引き続きお祈りください。ハーベスト・クリスチャン・フェローシップの会衆は明るい光を失いました。共に嘆いている私たちのためにお祈りください。あなたやあなたの知り合いが自殺願望で苦しんでいるのなら、どうか助けを求めてください」
ウィルソン氏には、妻のジュリさんとの間に2人の幼い息子であるフィンチ君とデンハム君がいた。
ローリー氏はまた、自殺する2日前の7日に、ウィルソン氏が若い女性に洗礼を授けている写真も公開した。「彼と、彼が洗礼を授けた若い女性の顔に浮かぶ喜びを見てください。これが、私の記憶の中にあるジャリッドです」とローリー氏は言い、さらに妻のジュリさんのコメントも紹介した。
「私の愛する、優しく、親切な心を持ち、人を励まし、ハンサムで、面白く、大切なものでも何でも与えてしまう夫は昨夜、イエス様の元へ行きました。自殺が最後の言葉ではありません。私がそうさせません。あなたはいつも言っていました。『希望が最後の言葉だ。イエスが最後の言葉だ』と」