世界保健機関(WHO)が定める「世界自殺予防デー」(9月10日)を受け、息子を自殺で亡くした米サドルバック教会のリック・ウォレン牧師とケイ夫人は、教会の一人一人が積極的に立ち上がり、絶望の最中にある人々を助けるよう促した。
ケイさんは自殺予防デーを前にした6日、自身のツイッターに「霊的指導者の皆様、今週末、皆様の教会の礼拝で、自殺の影響を受けた人々のためにお祈りいただけますようお願い致します」とコメントした。WHOの発表(2014年、英語)によると、世界では毎年80万人余りが自殺で亡くなっており、自殺未遂はその25倍に上る。
13年に当時27歳の息子マシューさんを自殺で亡くしたウォレン夫妻は、キリスト教界でメンタルヘルスの重要性を説く中心的な役割を担っている。自殺に関するカンファレンスを主催し、より多くのクリスチャンが自殺防止のための活動に参加するよう求めている。ケイさんは8月末、フェイスブックに長文の投稿(英語)をし、次のように述べた。
「サドルバック教会は、これまでも必要のある方はどなたでも集えるよう、常に歓迎し、お招きしてきましたが、精神病に関する対話を広げる中で、精神的な病のある方々のお話を聞き、精神衛生上の危機にある方々を最大限支援するため、私たちに何ができるかを知るにつれ、この教会は、ますますそのような方々に共感するようになっています」
「自殺者の遺族であるリックと私は、愛する者の自殺に伴う耐え難いほどの苦しみを誰よりも知っています。私たちは、絶望を経験する方々のために心を痛めています。そのような方々は教会の中だけでなく、読者の皆さんの中にもおられると思います」
「キリストにある兄弟姉妹の皆さんは、ご自分の教会が、内なる痛みを分かち合える安全な場所であることを知る必要があります。兄弟姉妹の皆さんの苦痛は、深い同情と受容によって慰められると思います」
今年の自殺予防デーのテーマは、「わずか1分でも、助かるいのち(Take a minute, change a life)」。国際自殺予防学会(IASP)は、自殺予防デーのために設置したページ(英語)で、「地域社会の一員として、挫折を経験している方々に目を向け、声を掛け、その方々のやり方、その方々のペースで話していただけるよう励ますことは、私たちの責任です」「穏やかに支援の言葉を掛け、裁かない心で傾聴するなら、必ず良い結果を見ることができます」と呼び掛けている。
IASPによると、自殺や自殺未遂が世界的に増加している背景には、「さまざまな事情から、人々が自分の命の尊さに疑問を抱いている」という特徴が見られるという。
自殺について話すことは、文化に見られる「最後のタブー」だと、ケイさんは言う。「私たちの周りには、この教会のユースグループの若者を含め、希望を失い、自殺願望を経験する方々が数千人います」「皆さんの思いやり、受容、希望の言葉は、皆さんの教会の人々の命を救う助けになるのです」と訴えた。
今年15年目を迎えた自殺予防デーは、IASPとWHOが2003年にスウェーデンで開催した世界自殺防止会議の中で制定された。日本では自殺防止デーにちなみ、毎年9月10日から16日までの1週間が「自殺予防週間」と定められている。