ローマ教皇フランシスコは6月30日、日曜日恒例の「お告げの祈り(アンジェラスの祈り)」の講話の中で、この日行われた米国のドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による3回目の会談に触れ、肯定的に受け止めるコメントを語った。
カトリック・ヘラルド(英語)によると、教皇は講話の最後に「つい数時間前、われわれは朝鮮半島で出会いの文化の良い例を目にしました」と述べ、韓国・北朝鮮間の軍事境界線(非武装地帯・DMZ)で急きょ実現した米朝首脳会談に言及。「この重要な意思表示が、朝鮮半島だけでなく、世界全体のためにも、平和に向けた道のりのさらなる一歩となるよう祈りつつ、(会談の)主役となった人たちに敬意を表します」と語った。
米朝間の協議は、ベトナム・ハノイで2月に行われた2回目の首脳会談が物別れに終わったことから停滞していた。しかし、3回目となる今回の会談は、トランプ氏のツイッターへの投稿で急きょ実現した。
大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に出席していたトランプ氏は29日朝、ツイッターに「もし北朝鮮の金委員長がこれを見ているのであれば、あいさつの握手をするために、境界線・DMZで彼と会うかもしれない!?」とコメントした。そして、同日夜にはソウル入りし、30日午後に軍事境界線上にある板門店(パンムンジョム)で金氏と面会。米国の現職大統領としては初めて境界線を越えて約1分間、北朝鮮側に渡った。その後、韓国側の施設で金氏と約1時間にわたって会談し、非核化協議の再開などで合意した。
ただし会談は、突然決まったものではなく、事前に開催に向け協議が行われていたとする見方もある。金氏は10日に、トランプ氏は23日に、それぞれに宛てた親書を送っており、予め会談に関するやりとりがあった可能性があるからだ。
一方、カトリック・ヘラルドによると、韓国のカトリック教会は会談5日前の25日、軍事境界線近くで、朝鮮戦争勃発69周年を覚え、朝鮮半島の平和と和解を祈る2万人規模のミサを開催していた。また教皇は4月、韓国・北朝鮮の指導者に向けたメッセージで、「調和と一致に向けた追求は、忍耐強く、かつ粘り強い努力を通して、分裂と対立を乗り越えることができる」と語っていた。