日本キリスト教協議会(NCC)は6日、4月に行われた南北首脳会談と6月に行われた米朝首脳会談に関する声明文を公式サイトで発表した。米朝首脳会談については、北東アジアの平和を求める立場から高く評価し、「朝鮮半島の完全なる非核化への確かな一歩となることを願ってやみません」と述べた。また、その約1カ月半前に開催された南北首脳会談、2月の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックがそれぞれ重要な役割を果たしたとし、両会談の実現は「平和を熱望する市民の思い」の結実とした。
朝鮮半島は日本による36年間の支配から解放された後、1948年に米ソ冷戦下で南北が分断した状態で独立。しかしその後すぐに、50年から3年にわたる朝鮮戦争が勃発した。休戦協定締結後、北は社会主義政権による独裁、南は軍事政権による独裁の時代となる。韓国ではその後、70〜80年代に民主化運動が起こり、NCCは、韓国キリスト教教会協議会(NCCK)をはじめとするキリスト者は「民主化闘争の担い手」だったと指摘。日本のNCCは「韓国のキリスト者の民主化闘争のために祈り、支援を続けました」とした。
北朝鮮は昨年、ミサイル発射や核実験を繰り返しており、会談が持ち上がる前は、米朝両国が互いに武力の行使もちらつかせるなど、非常に緊張が高まっていた。そのためNCCは、会談の実現は「青天の霹靂(へきれき)」だったとした。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の平和的対話外交を高く評価し、それはNCCKが訴え続けてきた「和解と平和の宣教による朝鮮半島の平和統一」とも相応すると強調。一方、会談の実現は「到達点」ではないとし、「北東アジアの非核化や日本人拉致問題の解決への端緒として受け止めるべき」「このような世界史的な動きを、冷静にそして明確に認識し、和解と平和への追い風とすべき」とした。
また、これに逆行した動向に対しては「無関心と沈黙ではなく、キリスト者として『平和の尊さ』を一人でも多くの人に訴え、国内外に共に声を上げていくべき」と指摘。「それが、私たちが依って立つ聖書に記された預言者的な『見張り』(エゼキエル書 3 章)の役割であり、『平和を実現する者は幸いである』(マタイ福音書 5:9)と呼び掛けられた主の願われる道であると考えます」とした。