日本キリスト教協議会(NCC、東京都新宿区)は16日、インドネシア第2の都市スラバヤで13日に発生した3つの教会に対する連続爆破テロに対し、抗議する声明を発表した。テロは、信徒らがミサや礼拝に訪れる日曜日の朝を狙って発生。実行犯は子ども4人を含む6人家族で、一家全員が死亡したほか、教会の信徒ら12人が亡くなった。NCCはテロについて「計り知れない衝撃を受け、深い悲しみを覚えずにおれません」とし、犠牲者に哀悼の意を示した。
実行犯の一家は、過激派組織「イスラム国」(IS)を支持する現地組織「ジャマー・アンシャルット・ダウラ」(JAD)に関係していた。中には9歳の少女も含まれており、NCCは「幼い命を軽んじる非道な行為に大きな怒りを覚えるばかりです」と非難した。
また、キリスト教徒とイスラム教徒の平和的共生が模索されていたインドネシア社会で、「敵意を引き起こそうとする悪意をもってこの度のテロが計画されたと推察されます」と指摘。「この世界に敵意と暴力を広げようとする悪の力に対して、最後まで救い主であられ、和解と平和の十字架の主に従う信仰に堅く立ち続けながら、敵意と暴力に勝利する道を、世界のキリスト教会と共にインドネシアのキリスト教会が歩み続けていかれますことを、心から祈り願うものであります」と述べた。
さらに、事件で命を奪われた人々の犠牲が、イスラム教徒との間の和解と共生を求める祈りと絆をさらに強めるものに変えられるよう願い求めた。
NCCは同日、アジアキリスト教協議会(CCA)の事件に対する声明の日本語訳も発表した。声明によると、CCAのマシューズ・ジョージ・チュナカラ総幹事(インド)は、礼拝中の教会を狙った犯行について「いかなる宗教によっても正当と認められない非道な犯罪行為」と非難。インドネシア社会で長く育まれてきた宗教的調和を破壊するものだと述べた。加盟教会に対しては冷静を保つように促し、政府主導の対処を求めたインドネシア教会共同体(PGI)指導部の対応に感謝を示した。
3つの教会に対する爆破テロが起きたのは13日朝。夫婦と娘2人(9歳、12歳)、息子2人(16歳、18歳)の6人家族が実行した。同日夜には、警察がテロとの関連で捜査していたスラバヤ郊外のアパートで爆発が発生。そこには別の6人家族が住んでおり、父親が爆弾を誤爆したとみられている。妻と17歳の息子が爆発で死亡したほか、父親は警察に射殺された。
さらに翌14日朝には、5人家族が2台のバイクに分乗し警察本部に突入、自爆した。夫婦と10代の息子2人が死亡、8歳の娘は負傷した。これら3家族はすべてJADのメンバーだとされている。