インドネシアのジャワ島東部にある同国第2の都市スラバヤで13日朝、キリスト教の教会3カ所を狙った自爆テロが発生した。日曜日の礼拝やミサのために集まった人を狙った犯行とみられ、少なくとも7人が死亡、46人が負傷した。実行犯は一家6人で、このうち4人は8歳から17歳までの子どもだった。一家は、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)に連帯を示す地元組織に属していたとみられており、6人全員が死亡した。
共同通信(英語)などによると、実行犯の家族は父と母、8歳と12歳の娘と、15歳と17歳の息子(AFP通信などは、9歳と12歳の娘と、16歳と18歳の息子と伝えている)。最初に、バイクに乗った息子2人が無原罪の聖母マリア・カトリック教会に突っ込んで自爆。1人が爆弾を持ち、もう1人がバイクを運転したという。続いて、プロテスタントのディポネゴロ・インドネシア・キリスト教会に、爆弾を腰に巻いた母と娘2人が入り自爆した。最後に父が、爆弾を積んだ車でスラバヤ中央ペンテコステ教会に突っ込んだ。
爆発は、午前7時半から同8時までの約30分の間に立て続けに起こった。地元警察は事件を受け、スラバヤのすべての教会に、この日のミサや礼拝を中止するよう指示した。
ISは、系列メディア「アマク通信」を通じて犯行声明を発表したが、事件に関する詳細や証拠を提示しておらず、実際の関与は今のところ不明だという。しかし一家は最近、ISが活動していたシリアから帰国したばかりだった。また一部の報道によると、父はISに連帯を示す地元のイスラム過激派組織「ジャマー・アンシャルット・ダウラ」(JAD)のスラバヤにおける指導者だったという。
被害に遭ったディポネゴロ・インドネシア・キリスト教会は、世界教会協議会(WCC)の加盟教会に所属する。WCCは13日、事件を非難するコメント(英語)を発表した。WCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事はその中で、被害者の家族に哀悼の意を表明。礼拝・ミサを狙った犯行であることを重く受け止め、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領や地元の宗教指導者らに対し、すべての宗教において、礼拝するという基本的な権利が守られるよう、迅速な対応を取るように求めた。
世界福音同盟(WEA)は同日、「祈りの警報」を発動。WEAのゴッドフリー・ヨガラジャ副総主事は、「スラバヤのクリスチャンに対するこの愚かな攻撃を強く非難する」とコメント。インドネシアの諸教会との連帯を示す一方、世界の教会に事件の被害者に関わるすべての人のために祈るよう呼び掛けた。
インドネシアでは8日にも、首都ジャカルタ郊外の西ジャワ州デポックにある国家警察機動隊本部の拘置所で、収監中のテロ容疑者たちが暴徒化する事件が発生している。警察官を人質に40時間余り立てこもり、拘置所内で隠しながら作った爆弾を爆発させ、警察官5人と収容者1人が死亡した。暴動を起こした収容者の中には、JADのメンバーもいたという。
インドネシアは人口の約9割がイスラム教徒の国で、人口の上では世界最大のイスラム教国。キリスト教徒は人口の約1割。過激派は警察や教会を標的にした襲撃事件を繰り返している。今月中旬からはイスラム教の断食月「ラマダン」が始まり、この期間に合わせて、過激な思想を持つ組織や人物がテロ行為を実行することが多いことから、警察は警戒を強めている。