ローマ教皇フランシスコは12日、バチカン(ローマ教皇庁)で天正遣欧使節顕彰会(宮崎市)の関係者らと面会し、来年にも日本を訪問したいとする意向を示した。教皇はこれまでも訪日を希望する発言を度々していたが、時期について言及したのは初めて。実現すれば、1981年2月に先々代の故ヨハネ・パウロ2世が訪日して以来、38年ぶり2回目の教皇訪日となる。
バチカン放送(日本語版)によると、教皇はこの日、バチカンの「パウロ6世記念ホール」の小ホールで、天正遣欧使節顕彰会の関係者らと面会。「皆さんのこの訪問を機会に、来年、訪日したいと、私が望んでいることをお伝えしたいと思います。実現を期待しましょう」と語った。
教皇の訪日については、安倍晋三首相が2014年6月、バチカンを訪問し教皇と会談した際にも要請しており、教皇が前向きな返答をしていたことが伝えられている。この際には、日本カトリック司教協議会の岡田武夫会長(当時)が「安倍首相のフランシスコ教皇訪日要請の報道を受けて」とするコメントを発表。同協議会は13年10月に教皇の訪日を願う書簡を送っていたが、その時点ではまだ承諾の返答がないことを明かし、訪日の願いを再度伝えていた。
16年8月には河井克行首相補佐官がバチカンを訪問し、国務省外務局次長のアントワン・カミレリ神父と会談。教皇の早期訪問を要請し、カミレリ神父は17年の訪日を検討したいと応じていたが、同年の訪日は実現しなかった。
17年10月には、日本聖書協会の渡部信総主事が聖書協会世界連盟(UBS)の理事の1人として教皇と面会。「日本のクリスチャンは、教皇が日本に訪れることを待ち望んでいます」と伝えると、教皇は「行きますよ、問題はいつ行くかです」と笑顔で応じていた。また同年12月には、映像回線を通じて、上智大学の学生らと対話するなどしている。
今年に入っては、日本人6人目の枢機卿に就任した前田万葉大阪大司教が6月、バチカンで枢機卿叙任式が行われた際、教皇に直接訪日を要請していた。
教皇フランシスコは、日本にキリスト教を伝えた宣教師フランシスコ・ザビエルで知られるカトリックの男子修道会「イエズス会」の出身。青年時代には、日本の宣教に携わることを希望していたが、肺の手術などのために断念した経緯があるという。
天正遣欧使節顕彰会は、1585年にローマを訪れ、当時の教皇グレゴリウス13世と面会した日本人青少年4人とイエズス会の宣教師らによる「天正遣欧少年使節団」の顕彰活動を行っている団体。同使節団は日本を出国してから帰国するまで8年かかっており、AFP通信によると、教皇は「あなた方(の旅)は短く、疲れも少なかったでしょう」と冗談も語ったという。