ローマ教皇フランシスコは28日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で枢機卿会議(コンチストーロ)を開き、5月末に任命していた日本の前田万葉・大阪大司教(69)ら新枢機卿14人の叙任式を行った。日本人の枢機卿は、2007年に帰天した浜尾文郎枢機卿以来、6人目。枢機卿にはローマの名義教会が象徴的に託される慣例があり、前田枢機卿にはモンティ地区の聖プデンツィアーナ教会が託された。
共同通信によると、前田枢機卿は式後「(日本人枢機卿の誕生は)日本全体が待ち望んでいたので非常にうれしい。しかし私がなるとは思っていなかった」などと感想を語った。
バチカン放送によると、式には世界各国の枢機卿らが参加し、教皇はマルコによる福音書10章32〜45節から説教を行った。「偉い」とされる人々が権力を振るう世の中と比較し「あなたがたの間では、そうではない」と言われたイエスの言葉を強調。無用な議論や自己優先的態度を取ることなく、むしろ人々に奉仕する者となるよう求めた。
説教の後には、枢機卿叙任のためのラテン語式文と新枢機卿一人一人の名前を読み上げた。新枢機卿らは信仰宣言を述べ、教皇への忠実と従順を宣誓。その後、枢機卿のシンボルである「ベレッタ」と呼ばれる赤色の帽子、また指輪と任命書が一人一人に手渡された。
新枢機卿の出身国は、イタリア(3人)、スペイン(2人)、イラク(以下すべて1人)、ポーランド、パキスタン、ポルトガル、ペルー、マダガスカル、日本、メキシコ、ボリビアの11カ国。教皇は5月末の発表時、新枢機卿の出身国の多様性について「この地のすべての男女に向けられた神の慈愛深い愛を知らせ続ける、カトリック教会の普遍性を示す」と語っていた。
枢機卿はカトリック教会で教皇に次ぐ立場にあり、今回14人が叙任されたことで226人となった。80歳未満の枢機卿は教皇選挙(コンクラーベ)の投票権を持ち、今回は前田枢機卿を含む11人が80歳未満で、3人は選挙権のない80歳以上だった。カトリック系ニュースサイト「クラックス」(英語)によると、これで教皇フランシスコによって任命された枢機卿は59人となり、全枢機卿のうち80歳未満は125人となった。