【CJC】パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は14日、バチカン(ローマ教皇庁)でローマ教皇フランシスコと約20分間会談した。世界各地のテロ・過激主義と闘う重要性や、イスラエルとの和平プロセスなどについて話し合った模様。
バチカンは世界に約13億人の信徒を擁し、国際的な影響力が強い。パレスチナ自治政府としては、親イスラエル路線を取るドナルド・トランプ氏の米大統領就任を控え、バチカンとの関係強化によって、次期米政権の動きをけん制する思惑があったとみられる。
バチカンは2014年にアッバス氏とイスラエルの故シモン・ペレス前大統領を招いて和平祈願の集いを開き、15年に「パレスチナ国家」を承認した。パレスチナ自治政府はバチカン駐在大使館の開設を進め、アッバス氏が14日の会談後、大使館の開設式典に出席した。
アッバス氏は記者団に、米国のトランプ次期政権下で懸念されている米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転について、「和平への妨げになる」とあらためて反対を表明した。
トランプ氏は選挙戦で、エルサレムをイスラエルの首都と認め、米大使館を移すと述べている。イスラエルは占領地の東エルサレムを含めたエルサレム全域を「不可分の首都」とするが、米国や日本を含め多くの国はイスラエル最大の商業都市テルアビブに大使館を置いている。
バチカンの声明によると、教皇とアッバス氏は会談の中で、紛争の「公正かつ永続的な解決」のため、イスラエルとパレスチナの直接交渉が早期に再開されるよう期待を表明。相互の信頼醸成と和平促進に向けた取り組みを国際社会が支援するよう呼び掛けた。