パレスチナのイスラム教徒が、研究者がイエス・キリストの生誕地と考えているベツレヘムの聖誕教会(降誕教会)を修繕するための国際的努力の一端を担う。
AP通信は16日、パレスチナと各国の専門家によるチームが、教会史上最大規模の修繕工事を指揮すると報じた。修繕工事には、何世紀にもわたり積み重なったほこりの除去、窓や屋根の修繕が含まれ、十字軍時代にさかのぼる芸術やモザイク作品を保存するよう注意深い作業が要求される。
パレスチナの修繕委員会のジアド・アル・バンダク氏は、「初めて訪問して上層階に上がると、モザイクが実に壮大で美しく、世界で唯一無二のものであることが分かるでしょう」と話した。
聖誕教会は4世紀、処女マリアがイエスを出産したとされるベツレヘムの地に、聖ヘレナにより建築された。
ここしばらくの間、教会には修繕が必要な個所が多くあり、多くの事故があった。一例として2014年5月、教会の岩屋にかかっていたカーテンにろうそくの火が燃え移り、火災が発生した事件がある。教会の職員は、その火災は放火によるものではないが、壁に煙による損傷があったと述べた。また、マリアやイエスのイコンの一部も損傷を受けたと報じられた。
AP通信は、この遺跡がキリスト教やイスラム教の諸派により崇敬されており、パレスチナ当局がローマ・カトリック教会、ギリシャ正教会、アルメニア使徒教会に出資することで修繕工事を支援すると報じた。教会の所有権は、教会の維持責任の所在についての19世紀の合意に基づき、この三つの教派が区分所有している。
アル・バンダク氏は、3年を要すると見られる修繕工事の過程において各教会が「非常に協力的」と語り、また「革命的」ともいえる状況だと述べた。また、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバス議長が資金調達に関与することを約束したが、さらなる資金として1100万ドル(約12億円)が必要になるだろうと指摘した。
アル・バンダク氏は、「彼(アッバス議長)は初めから私に、『もし必要な資金が全てなかったとしても、始めてください。ここは聖なる場所で、資金はきっと集まります』と言っていました」と明かした。さらに、「私たちの国の遺跡や歴史を保護するとき、私たちは将来を保護するのです。ですから、私たちはこのことをとても誇りに思います」と述べた。