ドナルド・トランプ氏が米国の次期大統領になることに決まった。
衝撃的な結果は劇的な夜に明らかになり、共和党候補者のトランプ氏が、オハイオ、ノースカロライナ、アイオワ、ペンシルべニアなどの鍵を握る激戦州を制した。命運を左右するとされたフロリダ、ウィスコンシンの両州も、その熱狂的な夜を政治未経験の門外漢として始めたニューヨークの億万長者トランプ氏が奪取した。
この選挙では、大勢の白人の福音派キリスト教徒がトランプ氏に投票し、極めて重要な役割を担った。米ABCニュースの出口調査によると、白人福音派の81%がトランプ氏に投票しており、対するクリントン氏に投票したのは16%だった。これは、元大統領のジョージ・ブッシュ、元大統領候補者のジョン・マケイン、ミット・ロムニーの各氏(いずれも共和党)が獲得した以上の福音派票だという。
フロリダ州で行われた初期の出口調査では、白人福音派の85%がトランプ氏に投票。ノースカロライナ州では、共和党の支持率は46〜50%だが、トランプ氏に投票した白人福音派は78%であった。白人福音派は、全体の26%を占めるという。
宗教別によるトランプ、クリントン両氏への投票率は、プロテスタント(全体の27%)は60%と37%、カトリック(同23%)は52%と45%、その他のキリスト教徒(同24%)は55%と43%、ユダヤ教徒(同3%)は24%と71%、モルモン教徒(同1%)は61%と25%、イスラム教徒(同1%)はデータなし、その他の宗教(同7%)は33%と58%、無宗教(同15%)は26%と68%だった。キリスト教徒では、プロテスタント、カトリック、その他のキリスト教徒の全てで、トランプ氏がクリントン氏を上回る結果となった(白人福音派はプロテスタントとその他のキリスト教徒のいずれかに含まれるとみられる)。米FOXニュースも同様の出口調査結果を発表している。
この政治的大変動は、近年の米国史における最も注目に値する選挙結果となった。
民主党支持者にとってのホラーショーは、トランプ氏が早い段階で、激戦州のオハイオ州を10ポイント近い大差で制した後に始まった。投票前の世論調査の多くでは、クリントン氏が優勢であったため、全く前代未聞の投票結果となった。
人口の多い幾つかの州をクリントン氏が制し、クリントン氏が一般投票でトランプ氏よりも多くの票を獲得して勝利するかのように見えた。しかし、米国は選挙人制を採用しているため、鍵を握る激戦州でのトランプ氏の勝利が、ホワイトハウスへの鍵を同氏に手渡す結果となった。
米国の作家であり、ビル・クリントン元米大統領の助言者であるトニー・カンポロ氏は、トランプ氏の勝利は「主に福音派の白人男性の支持によることは疑いようがない」と述べた。
カンポロ氏は英国クリスチャントゥデイに対して、「彼(トランプ氏)の勝利は恐らく、彼ら(福音派の白人男性たち)のアイデンティティーに関して、そしてその弁舌の才能が移民に対する恐れ、イスラム教徒に対する恐れ、地球温暖化に対する非科学的な疑念、聖書に矛盾する明白な人種差別主義と性差別主義の態度を刺激し、かき立てるような男性をどうして彼らが夢中になって支持したかに関して、内省を促すでしょう」と述べた。
福音派の米リバティー大学(バージニア州)の学長であり、公にトランプ氏を支持してきたジェリー・ファルウェル・ジュニア氏は、福音派からの支持は「本当に励みになる」と述べた。ファルウェル氏は英BBCに対して、「福音派の大部分はその指導者が支持するよりずっと以前からトランプ氏をよく支持しています。意見が分かれたのは、福音派の指導者層の中であって、一般信徒ではありません」と述べた。
トランプ氏の性的虐待の疑惑と彼の3度の結婚に関して尋ねられたファルウェル氏は、「福音派は全ての人々が罪人だと信じます。私たちは皆、悪事を行いました。私たちは皆、赦(ゆる)しを必要としています。私の知っているドナルド・トランプ氏は寛大な心を持っていて、彼は人々を愛し、この国を愛しています」と答えた。