世界バプテスト連盟(BWA)は3月30日、米国のドナルド・トランプ政権による対外援助の大幅削減を受け、人道支援のための資金調達を助けようと、献金や祈りを呼びかける緊急のイベントを開催した。
BWAの広報担当者であるJ・メリット・ジョンストン氏は、イベントについて「世界中で人道支援が急速に減速していること」への対応として始まったと述べた。
「BWAは、世界中のバプテスト派の団体から、人々の命を守るための緊急援助を要請されています。私たちは失われた何百万ドルもの(米政府による)援助を代替することはできませんが、教会として傍観するわけにはいきません」
BWAは、世界134カ国・地域から266のバプテスト派教団が加盟する国際組織で、加盟教団の所属信者数は、合わせると世界で5300万人に上る。
BWA自体は、トランプ政権が解体を目指す国際開発局(USAID)から資金援助を受けていないが、BWAが組織する「援助開発フォーラム」(BFAD)の加盟団体の中には、USAIDから資金援助を受けている団体もある。
「BWAは134カ国・地域の266の加盟教団で構成されています。影響を受けている地域の加盟教団は、それぞれの状況における特定のニーズを満たすために援助を要請しています」とジョンストン氏は説明する。
「援助金の要請は、バプテスト・ワールド・エイド(BWAの援助機関)のチームによって審査され、できる限り多くの要請に応えられるように資金が分配されます。影響を受けた地域にいる人々が、何が必要で、どうすればそれを供給できるかを一番よく知っています」
ジョンストン氏は、「私たちのグローバルファミリーの人脈をネットワーク化することで、現地の指導者たちが必要なものを受け取り、地域社会全体で実践的な方法によりキリストの愛を分かち合うことができるように」願っていると話した。
トランプ政権は、大規模な無駄遣いをしているとして、USAIDの資金と人員を大幅に削減しようとしている。
ホワイトハウスは2月、問題とするUSAIDの資金用途の実例(英語)を公開。それによると、USAIDは、セルビアの企業・ビジネスコミュニティーにおける多様性・公平性・包摂性の促進に150万ドル(約2億2500万円)、グアテマラにおける性転換手術と「LGBT活動」に200万ドル(約3億円)、シリアのアルカイダ系戦闘員に数十万食を無償で提供するなどしていたという。
一方、米国福音同盟(NAE)系列の支援団体「ワールドリリーフ」や、ルーテル派の支援団体「グローバルレフュージ」(旧ルーテル移民難民サービス)などは、対外援助の9割を超えるとされる大幅な削減は、海外の脆弱(ぜいじゃく)な地域社会に住む人々の命に直結する人道支援に影響を与える可能性があるとし、批判する姿勢を示している。
BWAは、人道支援のために協力を呼びかけるこの取り組みを、聖書の言葉から「破れ口に立つ」と銘打ち、実際に届いている助けを求める声を特設ページ(英語)で紹介している。
それによると、コンゴ民主共和国(旧ザイール)では、病院がパンク状態となり、何千人もの人々が避難を余儀なくされており、教会は避難民を受け入れているものの、必要な食料や水、医療物資が不足している。また、タイとミャンマーの国境では、政府の業務停止命令により国内避難民キャンプの診療所が一時的に閉鎖されたことで、医療支援を求めていた人々が亡くなっているという。