【CJC=東京】教皇フランシスコは22日、米ワシントン郊外、メリーランド州のアンドリューズ空軍基地に到着した。訪米は就任後初めて。バラク・オバマ米大統領一家や、ジョゼフ・バイデン副大統領らが出迎えたほか、同国カトリック教会の指導者や国民から選ばれた数百人も教皇を歓迎した。
23日には、ホワイトハウスで行われた米国訪問最初の公式行事である歓迎式に臨み、続いてオバマ大統領と会談した。
歓迎式の挨拶で教皇は、自分を移民の家族の出身であると紹介しながら、同様の家族たちによって大部分が構成されたこの国、米国を訪れた喜びを表した。そして、この訪問で出会いと対話を通し、個人の権利や信仰の自由が保障された寛容な社会作りで、米国と歩調を合わせていくと強調した。
またオバマ大統領が力を入れる気候変動問題にも触れ、「率先した取り組みを心強く思う。将来の世代に残してはならない問題だ」と語り、年末にパリで国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が開かれるのを前に、対策の実施を呼び掛けた。
オバマ大統領は教皇について、「道徳的な権威を言葉だけでなく行動で示す指導者」と述べ、54年ぶりの米国とキューバの国交回復の橋渡しをした教皇に「キューバの人々との新たな始まりを支持してくれた」と感謝を表明した。宗教的自由、気候変動対策を呼び掛ける教皇の姿勢にも共感を示した。
ホワイトハウスによると、歓迎式には1万人以上が招待された。会談後、教皇は専用車に乗り込み、ホワイトハウスの周囲約1・5キロを専用車でパレードした。
沿道では多くの市民が手を振るなど「貧者のための清貧な教会」を掲げるカトリック教会最高指導者としての人気の高さを示した。
ワシントン市内は厳戒態勢で米大統領の警護を担当するシークレットサービスや連邦捜査局(FBI)も展開し、一部主要道路が封鎖された。
夕方にはカトリック大構内の教会で米国初のミサを行い、約2万5000人が集まった。