【CJC=東京】バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコは8日午後5時過ぎ、南米歴訪第2の訪問国ボリビアのラパスに到着した。ラパスのエル・アルト空港では、民族衣装の子どもたちや多くの市民が教皇を歓迎した。
教皇は出迎えたエボ・モラレス大統領と並んで歓迎式に臨んだ。教皇はこの訪問を通して、復活のイエス・キリストにおける人々の信仰を強め、地上の巡礼者である私たちがイエスの愛を証しし、より良い社会のパン種となり、正義と連帯に満ちた社会の構築のために協力できるよう、皆を励ましたいと述べた。
空港での歓迎式に続き、教皇はラパス市内の大統領官邸でモラレス大統領と会談し、司教座大聖堂でボリビアの各界要人と会見した。同日夜、教皇はラパスから、サンタ・クルス・デ・ラ・シエラに移動した。
教皇は9日午前、サンタ・クルスでミサをささげた。このミサによって、ボリビア国内の第5回聖体大会が開会された。教皇ミサの会場となったクリスト・レデントール広場と周辺は参加者で埋め尽くされ、その数はおよそ200万人に達した。
説教で教皇は、この国でよく見られるように、子どもたちを肩に乗せた多くのお母さんたちの姿に感動を覚えると述べ、「人々が背負っているのは命、この国の未来、喜び、希望であると同時に、失望や悲しみなど、実現されなかった正義の傷でもあります。皆さんが背負っているのは民の記憶です。民は記憶と共に歩んでいるのです」と話した。
「聖体は世界の命のために裂かれたパンです」と述べた教皇は、聖体の交わりが、個人主義から抜け出し、共に生きることを可能にし、私たちが持っているもの、ありのままの私たちが、神の愛の力のもとに受け入れられ、祝福され、分け与えられるならば、それは他の人たちの命のパンとなれるという確信が与えられるようにと祈った。
教皇は、午後から、サレジオ修道会が運営する学校「コリセオ・ドン・ボスコ」で、同国の司祭・修道者・神学生らと会見した後、民間運動世界ミーティングが開催された見本市会場へと向かった。
民間運動世界ミーティングは、期間労働者やインフォーマルセクター労働者、都市周辺の貧困地域住民、先住民族、移民、小作農業者らの生活向上を目指す様々な民間運動関係者の国際集会。第1回目の会合は昨年10月にバチカンで開催された。
2回目となったミーティングには、モラレス大統領をはじめ、約3千人の参加者が集った。
「神はご自分の民の叫びをお聞きになる」と述べた教皇は、「土地・家・仕事」は聖なる権利であり、そのために闘う価値のあるものと強調。自分の耕地を持てない農民、家の無い家族、権利の無い労働者、こうした人々の存在を前に、私たちは何かを変える必要を強く感じていると話した。希望と連帯のグローバル化は、人々から人々の間に生まれると述べた教皇は、これを排除と無関心のグローバル化と交換しなくてはならないと訴えた。
ボリビア滞在最終日の10日、教皇は、サンタ・クルスのパルマソラ刑務所を訪問した。刑務所付司祭らの案内を受けながら、広大な所内を乗用カートで回り、受刑者や家族らの待つ更生センターの運動場に移動した。
教皇は受刑者らへの言葉で、「今、皆さんの前にいる人間は、一人の赦された人間です。多くの罪を持ち、罪から救われた男です。私は自分をこのように紹介したく思います」と自身を紹介。「皆さんに差し上げられるようなものはたいして持っていませんが、私が持ち、愛するものを皆さんに差し出し、分かち合いたいと思います。それは、イエス・キリスト、御父のいつくしみです」と述べた。
「イエスは神の愛を目に見えるようにするために、この世に来られました。あなたがたのために、あなたのために、私のためにです。それは生きた愛、現実の愛です。ご自分の兄弟一人ひとりの境遇を真剣に考えてくださる愛です。それは癒やし、赦し、立ち上がらせ、世話をする愛です。寄り添い、尊厳を取り戻させる愛なのです」と話し、受刑者たちを励ました。
最後に市内の教会でボリビアの司教団と会談した教皇は、サンタ・クルスの空港から特別機でパラグアイの首都アスンシオンへと向かった。