100人の信仰の指導者からなる連合が、飢えと貧困を2016年の米大統領選の重要な焦点とするために、大統領候補予定者に対し、米国、また世界全体から貧困と飢えを軽減するために何ができるかを語った動画を投稿するよう勧めている。
キリスト教の幅広い教派、教会、大学、神学校、事業団などを代表するこの指導者の団体は、飢えと貧困にあえぐ経済的に恵まれない人を助けるためのプログラムを擁護する団体「サークル・オブ・プロテクション」によって招集された。この連合は、大統領候補予定者に対して、全世界の必要のある人々に「手助け」と「機会」をどのように与えるかを説明する3分間の動画を各自で作成するよう依頼している。
この運動に賛同の意を表す多くのミッション・スクール、教会、地域のキリスト教団体を代表するのは、米国福音同盟(NAE)、ソージャナーズ、米国聖書協会、ブレッド・フォー・ザ・ワールド、カトリック・セオロジカル・ユニオン(神学大学院)、イエズス会、全米ラテン福音連合(NaLEC)、カトリック・チャリティーズUSAなどの全米規模の団体だ。
「私たちは、飢えと貧困を撲滅することを政策で最優先する大統領を求めて祈っています。あなたはそのようなリーダーですか?」と、連合は声明で問うている。「私たちは、貧しく飢えた人に心を寄せているかを確かめるため、信仰者に大統領選の候補者を試すよう要請する予定です。私たちは、各候補者がいかに『乏しいものに救いを与え』(詩編72編)る政治をして任期を全うするつもりかという提案を知りたいのです」
慈善団体「ソージャナーズ」の創始者で代表のジム・ウォリス氏によると、4500万人以上の米国人、そして1400万人の子どもが全米で貧困にあえいでいるという。ウォリス氏は、聖書には社会で不幸な人がどのように扱われているかについて、神の裁きがあると書かれていると説明した。
「聖書全体には、社会はそこで生活する『最も小さい人々』をどう取り扱うかによって裁かれると書かれています。私たちの政治的リーダーは、貧しい人や弱い人への関与という視点からも評価されるべきです」と、ウォリス氏はプレスリリースで述べた。「もし、政治のアドバイザーが候補者に『貧困について語るべきではありません』と話すなら、信仰者として私たちはそれに反対しなければなりませんし、現に反対します。このことから、各候補者が立候補するごとに、共和党であろうと民主党であろうと、信仰のコミュニティーは候補者に、この質問を投げ掛ける責任を持つのです。『イエスがこの中で最も小さな人と呼んだこの人たちを、あなたはどう取り扱いますか。そして貧困への現実な解決をどのように見い出しますか』」
飢餓の撲滅を目指すキリスト教団体「ブレッド・フォー・ザ・ワールド」の代表デイビッド・ベックマン氏は、必要のある人への支援という神の召しに対して、米国は良い結果を出していないと語った。
「信仰の指導者の間での広いコンセンサスとして、私たちの国は不届きなことに、特に自国内での貧困の問題を無視しているというのがあります」と、ベックマン氏はプレスリリースで語った。
米国福音同盟の政治担当副代表ガレン・キャリー氏は大統領候補者に、「貧困に対して沈黙を守ることは許されないことです」と警告した。
「貧しい人や弱い人のニーズに対応するのには、さまざまな方法があります。より実効的な方法もあるでしょう」とキャリー氏。「政治的指導者は貧しい人や弱い人に対する神の意志を共有するために召されていると信じるキリスト教徒は、大統領候補者がどのように、この逃れ得ない責任に対しアプローチするか知りたいのです」
2012年選挙の中盤では、バラク・オバマ大統領と共和党の対立候補ミット・ロムニー氏の双方がこの団体の呼び掛けに応え、「サークル・オブ・プロテクション」へ動画を投稿した。そこでは、米国における貧困の状況を改善するために何ができるかについて語られた。
オバマ大統領はその動画の中で、「私の信仰では、貧困は道徳的課題と教えています。聖書は私たちを、兄弟姉妹の後見人であるように呼び掛けています。そして私は公僕として、その呼び掛けに従うよう自分の役割を果たさなければならないと信じています」とオバマ大統領は語った。「そのため、私の(ホワイトハウスの一組織である)『信仰に基づく隣人パートナーシップ室』は、必要のある人のために働く全米の団体と共にその働きを広げています。だからこそ昨年(2011年)、ワシントンでの予算に対する熱い議論の中、この最も小さな人たちに対する不可欠な助けを保護する約束をしたのです。私はその約束を守っています」と語った。