天体物理学者ニール・ドグラース・タイソン氏が、創造論者の信条を多くのキリスト教徒も「狂っている」と考えていると言い、創造論者の一人として有名なケン・ハム氏についても、2月にハム氏が米科学教育者のビル・ナイ氏と公開討論会を行なうまで比較的知られていなかったと発言したことについて、ケン・ハム氏が代表を務める「アンサーズ・イン・ジェネシス=AiG(答えは創世記に)」が反論した。
「ビル・ナイ氏が登場する前には、誰もケン・ハム氏のことを聞いたことがなかったなどというタイソン氏の主張は、ばかげています。アンサーズ・イン・ジェネシスは創造論伝道を行う団体として世界的に知られ長年の実績を持ち、ウェブサイト、ソーシャルメディア、レベルの高い講師陣、書籍やDVD、ラジオ番組、雑誌などを通して世界中の人々に影響を与えています」。AiGのエリザベス・ミッチェル氏は8月30日に同団体のホームページでこう述べた。
また、「ナイ氏とハム氏による討論は、もちろん多くの注目を集めています。実際、AP通信の記者ディラン・ロバン氏によれば、ビル・ナイ氏は討論の内容に興味関心を示しており、それは普段彼が自身の大学での講義の際に示すそれよりもずっと大きなものでした」と付け加えている。
今年の初め、TVシリーズ「コスモス:時空と宇宙(原題:Cosmos: A SpaceTime Odyssey)」の中で司会を務めたタイソン氏は、先月このTV番組がAiGを含むいくつかのグループから批判を受けたとし、口を開いた。
「ぜひ自問自答してみてください。こういう批判をする人たちの背後にどんな仲間がいると言うのでしょう」とタイソン氏。「ケン・ハム氏のような人が信じていることは、たとえクリスチャンであっても、多くの人にとって狂っているとしか思えません」などと発言した。
AiGは、全13回のシリーズにわたるこのTV番組の放映期間中、定期的にレビューを作成。そしてこの番組が「進化論をむやみに信じる」ことにつながると批判していた。
ミッチェル氏は今年の3月に、「もし第1回目の放送がこのような内容であれば、『コスモス:時空と宇宙』は、科学への興味を持たせるという名目で、進化論を無条件に信じることを科学的リテラシーとして植え付けようとするものだ」と、同団体ホームページで述べていた。
ミッチェル氏は、最近の記事で「タイソン氏は、ナイ氏同様、聖書を信じる人々は危険だと思っているため、進化論を信じていない人々に何を考えるべきかを伝える特別な許可が、あたかも自分に与えられているように考えているようだ」とコメント。この番組シリーズの科学リテラシーに疑問を投げ掛けた。
「大人も子どもも、私たちの住んでいるこの世界はどのように機能しているのかということについて理解する必要があります。神様の創造された素晴らしい被造物を、観察に基づく科学を通して正しく理解し、私たち個人や集団に影響を与える信条に対する主張への重要性と科学的信頼性をつかみ、すべての科学的主張がベースになっているものに対し、知的にまた批判的に判断することが求められています。それらの主張は科学者個人の偏見や世界観などに影響されているかも知れないのです」と、ミッチェル氏はブログの中でこうつづった。
「それゆえ、そうです。私たちは『コスモス:時空と宇宙』が、科学的リテラシーを促進するという考えに疑問を投げかけ続けます。私たちは、この番組を疑問視するのに十分な目を養うことを、皆さんや皆さんのお子さんたちに対して勧めます」
「コスモス:時空と宇宙」は、放映中高い評価を得、8月のエミー賞では4部門で受賞。その中には「ノンフィクション番組脚本賞」というものもあった。進化論、創造論、地球の年齢については、米国人の間で議論を招くトピックであり続けている。
2012年の米ギャラップ調査では、調査に回答した米国人の46パーセントは、神は人間を現在と同じ形に創造したと考えており、32パーセントは「神の介入付きで」進化したと考えている。15パーセントは進化論を支持し、そこには神の介入はなかったと信じている。
同様に、2011年に行われた米ライフウェイリサーチ社による世論調査によれば、プロテスタント牧師の46パーセントは地球の年齢が約6千歳であると信じており、43パーセントがそれに反対の意見であった。