米創造博物館の最高経営責任者で館長でもあるケン・ハム氏が、あるクリスチャンの学者が、聖書の創世記5章と11章に書かれた系譜で言及されている人間の寿命の長さを説明しようするあまり、聖書の権威を見下していると非難する内容をブログで公開した。
アメリカのキリスト教弁証学的布教団体「アンサーズ・イン・ジェネシス(答えは創世記に)」の設立者であるハム氏は、創世記に書かれた創造の説明を文字通り解釈することに賛同しており、創世記に書かれた神の御言葉を曲げれば、聖書の信用性が失われると主張する。
ハム氏は、自身の主張を力説するため、米ボストン大学哲学博士で、進化論を推進する米キリスト教団体バイオロゴスの情報コンテンツ管理者でもあるジム・スタンプ氏が書いた記事に言及している。
スタンプ氏は記事の中で、「現代科学を受け入れているバイオロゴスの考えと、人間が900年以上生きられるということが矛盾していると非難されている・・・我々が現代科学を受け入れているからと言って、神が奇跡を全く起こさないと信じているわけではないと、申し上げておきたい。神がメトシェラを969歳まで生かしたいと思ったなら、自然の秩序にもちろん介入できると信じている。むしろ問題なのは・・・それが本当に創世記のその箇所での意図なのかどうか、ということだ」と述べている。
ハム氏は、文字通りに創世記を信じる人が、あたかも現代科学を拒否しているような言い方をスタンプ氏がしていると主張する。「創世記をその言葉通りに受け入れるということは、進化論の考えを拒否しているのであって、観察科学を否定しているのではない。もし創造論者が科学全てを拒否しているとするなら、創造科学者は存在しないだろう」と同氏は指摘する。
また、ハム氏は、創世記5章と11章全体が伝えるメッセージの方が、系譜を文字通りに歴史として捕える必要性よりも優位だと主張するスタンプ氏を批判している。
スタンプ氏は記事の中で、「古代の人々が、アダムからノアに至る人類の寿命にそれらの数字を当てはめたことに、どんな意味があるのか分からない」と言い、象徴的意味に過ぎないと提言する。
ハム氏は、「実は、これらの数字が何を意味しているのかは分かっている。その文章が言っている通りの意味だ」と反論する。アダムが罪に落ちた直後の人間の寿命は長かったので、アダムからノアまでの祖先は、何百年も生きたのだ、と同氏は説明する。
ハム氏は、スタンプ氏がノアやモーセの寿命をどう解釈するのか、さらに説明を求めている。「モーセは120歳で亡くなった。さて、これはただの象徴的な数字か。系譜はどこからまた文字通りの意味を持つのか」と同氏。「神の言葉を真に受けようとしないだけの、過ちを犯しやすい罪人の仰々しい発想にだまされないように」とハム氏は自身の読者に強く促す。
「神に向かって、間違っていると言えると思う有限な人間の何と愚かなことか。クリスチャンの学者たちが、絶対確実な神の言葉に対して、偉ぶることが出来ると思うとは、何と悲しいことか」とハム氏は話を結んでいる。
昨年12月の米ピュー研究所の調査によれば、米国成人の60%が人類は進化して今のようになったと信じており、それに対し、33%が人類は始めから今の形で存在していたと信じている。また、進化論を指示する立場の60%の人の中でも、約24%が進化のプロセスを「超人的な存在」が導いたと信じており、進化は全く自然なプロセスによるものだと考えているのは32%にとどまる。