アッテンボロー氏は世界中を旅していることで知られており、BBCラジオの70周年記念番組「砂漠の島のデスク」で、ラジオ番組ホストのカースティ・ユング氏がアテンボラ氏に対し、世界中を旅行し続けてきたことが神を信じる信仰につながった、あるいは主に近いところへあなたを導いたのかと聞いたところ、「40億年の生命の歴史を受け入れることと超越者が存在することを信じることは矛盾するものであるとも思っていません。今私は自分が無神論者ではないと言い切れるまでの自信はありませんが、むしろ私は『不可知論者』であるという立場をとりたいと思っています」と述べた。
全米無神論者団体代表のデービッド・シルバーマン氏は、アッテンボロー氏が自身を不可知論者と宣言したことは、無神論の団体にとって不利益ではないとし、米CPに対し「彼は神が存在するかもしれないと言っているわけではないでしょう。彼が言っていることは、神を信じている人々が、進化論の科学的な事実も同時に信じることができるということでしょう。そういうことはカトリック教会からも聞いています。彼は神はいないとは言っていませんが、だからといって神を信じるとも言っていないのです」と述べている。
アッテンボロー氏はこれまでBBCで放映してきた自然について放映してきた「ライフ」のナレーションを行ってきた活動を通じて、神を信じることと進化論を信じることは互いに相反する考えではないことを悟るようになったという。
一方無神論者のシルバーマン氏は「多くの有神論者は進化論の理論を信じておりますし、進化論を信じることが、宗教的な信仰と矛盾すると考えるべきではないと思います。神を信じ、進化論を信じるという事は可能だと思います。数学を信じ、神を信じることも可能でしょう。進化論は科学的に解明可能な事実を述べているだけです。これは思想や意見の問題ではありません」と述べている。
シルバーマン氏はアッテンボロー氏のコメントについて、「不可知論は無神論に突入する第1段階である」という不可知論と無神論に対する共通の誤解をさし示すものであると指摘し、無神論と不可知論の考えは互いに関連しているものの、究極的には相容れないものであると述べた。
英進化生物学者のリチャード・ドーキンス氏もアッテンボロー氏と同様の見解を示しており、すべての証拠がそろうまで神に関する言及は避けたいとの姿勢を示している。ドーキンス氏は「神は存在するかもしれないし、しないかもしれない。これは科学的な問題である。もし神が存在するのであれば、宇宙が存在し、その法則が発見可能な法則として見出されるように、神自身がその姿を表し、神自身が自身の存在について証しし得るものではないか」と述べている。
シルバーマン氏もドーキンス氏と同様の見解を示しており、神を信じるには「神が物理的に存在するという証明が必要であり、もし神がその姿をサンタクロースが私の前に現れたかのように私の前に姿を現すなら、私はこれ以上無神論者のままではいないでしょう」と述べている。