俳優でコメディアンのロビン・ウィリアムズ氏が今月11日、自宅で死亡しているのを発見された(自殺とみられている)。彼の信仰が彼の人生と死においてどのような役割を果たしていたのか、知りたい人は大勢いる。
ウィリアムズ氏はイリノイ州シカゴ市に生まれ、聖公会の家庭で育った。彼はしばしば自身のコメディパフォーマンスの中で、自身の信仰をオチとして使っていた。「僕にはこの原理主義ってやつがよく分からない。だって、僕は聖公会なんだからね。カトリックの甘さ控えめライト版。同じ宗教、罪は控えめ!」と、ウィリアムズ氏はジョークを飛ばしていた。
しかし後年、ウィリアムズ氏は自身の信仰に触れ、「物質よりも精神」という考えが、薬物とアルコール中毒を乗り越える支えとなったと話していた。また彼は2009年に心臓切開手術を受けていたが、それによって自分の殻が破られ、人間の死すべき運命をまざまざと感じることができたので、それはむしろ恵みだったと語っていた。
「いや、何とも、つい感情的になってしまう」と、ウィリアムズ氏は英ガーディアン紙に語っていた。「自分の周りの障壁を突き破ってくるんだ。自分の着ている鎧が本当に破られる。自分ではどうしようもない。自分自身を文字通り『切開』された気持ち。本当にやがては死ぬ存在なんだと感じたよ」
ウィリアムズ氏はうつ病、アルコール中毒、コカイン中毒と闘っていたが、彼の広報担当者によれば「最近は特に重度のうつ病と闘っていた」という。しかしながら、それにも関わらず、彼の自殺や精神的な病を批判する人々もいる。
「僕の人生だって生き地獄だったこともあれば、山あり谷ありだったさ」と、俳優のトッド・ブリッジス氏は米TMZテレビに語った。「だけど自殺なんてしたら、自分の子どもたちに、辛くなったらそういう逃げ道があるんだと教えることになる。ふんばって、神に助けを求めるべきなんだ。祈りが本当に効くのはそういう時だ。ロビン・ウィリアムズよ、安らかに眠りたまえ。探し求めていたものが見つかったとよいのだが」
皮肉にも、ウィリアムズ氏は死の4年前、有名人が死去するとかえって不死の存在になるということについて語っていた。「アメリカでは人が死ぬと神話化するんだ」と、ウィリアムズ氏はガーディアン紙に語っていた。
しかし、ウィリアムズ氏の死でおそらく最も受け入れ難いのは、あれ程の笑いと微笑の裏で、彼が途方もない痛みと苦しみと闘っていたという事実だろう。
「難しいのは、人は他人を型にはめたがるからだ」と、1991年に彼は米ロサンゼルス・タイムズに語っていた。「人はこんな風に考えるんだ。『あいつは躁(そう)の男。あいつはアドレナリンが出すぎの男。どうせ自慰してるんだろう。もうしてないのかな。だけど待てよ。あの躁の男は、実に静かな人も、実にコワい人も演じてたよな。えっと、うーん・・・』」
「彼は常に人物を演じていた」と、ラフ・ファクトリーの創設者で社長のジェイミー・マサダ氏は言う。「私は35年間彼を知っていたが、彼のことを本当に知ることはなかった」。ラフ・ファクトリーは11日の夜、ウィリアムズ氏を追悼して、劇場のマーキーに次のように書いた「ロビン・ウィリアムズよ、安らかに眠りたまえ。神を笑わせたまえ」