米グーグル社は3月、同社の広告サービス「アドワーズ(AdWords)」のポリシーの変更点を公表した。検索エンジンや一般のサイトなどを含む自社の広告ネットワークから、あからさまな性的描写を含んだ広告の表示を禁止する方針を明らかにしたのだ。グーグル社は、この決定を最近実行に移し、広告主らに対し、今後アダルト産業を推奨する内容の広告は表示しないことを正式に発表した。この動きを、反ポルノのキリスト教系団体「モラリティー・イン・メディア(MIM=Morality in Media)」は歓迎をもって受け入れている。
グーグル社はアダルト広告を禁止すると正式に発表し、広告表示を禁じる項目をガイドラインとして設定した。その中で、未成年や合意によらない性的なテーマなどの生々しい性的描写の禁止、子どもの性的虐待、性的なサービスと引き換えに金銭のやり取りが発生するものの禁止を公表している。
さらに、「私たちの設定したこれらの禁止項目について、法律では制限されないという理由で、認めることはありません」と、グーグル社は付け加える。
モラリティー・イン・メディアは5月、どうすれば個人や家族、子どもたちをこれらの情報から守ることができるのかということについて、グーグル関係者らと実り多い会合を持った。同団体のハイセン・シスコ氏は、「今日、私たちはこの会合で良い方向性を得ることができた」と述べている。
モラリティー・イン・メディアは、昨年と今年に提言した「はしたない12のリスト(Dirty Dozen List)」の中でグーグル社を挙げた。理由は、自社のサービスであるグーグルプレイ、グーグルアッズ、ユーチューブなどで、ポルノによる関与や収益があることであった。
アドワーズの検索エンジン開発担当者は、5月に検索エンジンに上った言葉で、sex、porn、free porn、pornoという語の検索総数は3億5千万であったと明らかにした。「porn」という語については、検索エンジンにただちに表示される当たり前の語となっていた。
米医学誌『JAMA(ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション)』で発表された最近の研究によれば、ポルノは脳に悪影響を及ぼすという。通常、性的な刺激を見たときに、脳のある領域が活性化するが、大量のポルノを見る男性は同じ刺激でもその脳の部分が活性化しなくなってしまうというのだ。またこの研究結果は、ポルノを頻繁に見る人は物事を処理することに関係する脳のある部分が小さいということも示した。
しかしながら、広告主の中には、グーグル社の決断にとまどいを示す人もいる。
「私は驚きました」と、アダルトビデオ・ニュース・メディアの社長兼CEOであるセオ・サポウチスは言う。「私は、2002年からアドワーズに最初に広告を載せることになった広告主のうちの一人でした。12年間触れられることのなかったトピックでしたから、今になって変化が起ころうとしている、ということは予期していませんでしたね」
グーグル社は最近、広告主に対しこう記している。「来週より、本格的なポルノグラフィー、マスターベーション、性器を露にするもの、肛門や口を使用する性的な行いを含む、生々しい性的描写の広告の掲載を禁止します」
グーグル社は、この新しく改訂されたポリシーでは、暴力的と見受けられるすべての広告とサイトを承認しないことになる、と述べている。また、「今回のポリシーの改訂により、多くの得意先である会社が影響を受けることと思う。改訂に沿うように、今一度ご自身の広告やサイトについて吟味していただき、改善していただくようお願いしたい」としている。