東京神学大学(東京都三鷹市、芳賀力学長)は最近、今年3月の定期理事会で承認された「東京神学大学研究倫理規程」を、同大学の公式サイトで公開した。同規定は3月24日から施行され、同大学の学術研究の信頼性と公正性を確保するため、神学各分野の代表者5人で構成される倫理委員会を設置する。
規定の前文では、同大学はこれまで「福音主義神学の根底である宗教改革の精神に基づいて真理を探究し、文化の発展と人類の福祉に寄与する研究活動を行ってきた」とした上で、研究の自由は保障されているものの、「研究活動には、宗教改革の改革精神に相応(ふさわ)しい高い倫理性が求められる」とし、倫理委員会を設置する旨を説明している。
倫理委員会は、旧約聖書神学、新約聖書神学、組織神学、歴史神学、実践神学の5部門の代表者5人で組織される。委員の中に学長がいる場合は学長が、いない場合は最年長者が委員長となる。
規定では、研究者の責務として、1)学術研究における不正行為の防止、2)礼拝説教における引用、3)研究費の適正な使用、4)契約の遵守及び守秘義務、5)研究成果の適切な発表と著作権の尊重、6)審査の公正性、7)差別やハラスメントの排除、8)個人情報の保護、9)思想、信条に関する調査、の9項目を挙げている。
これらの9項目のいずれかに該当する不正行為や人権侵害があった場合、こうした事実を知った者は、倫理委員会に通知することが義務付けられている。また、委員長は事実関係の調査の必要性などを検討した上で、通知を受けてから10日以内に委員会を招集しなければならないと定めている。
倫理委員会は、事実関係を調査し、講じるべき措置の原案を教授会に報告。学長は、教授会の承認を得て、不正行為の是正を命じ、不正を行った者に懲戒などの処分を科することができるとしている。
この規定の対象となる「研究者」には、同大学に所属する教員(常勤・非常勤)、研究生、また同大学で研究活動に従事するすべての者が含まれる。学生も研究活動に従事する場合は対象となる。
同大学は今回、「研究倫理規程」の他に、2012年の定期理事会で承認された「人権侵害防止対策規程」も公式サイトで公開した。