【CJC=東京】教皇フランシスコは6月6日午前、バチカン(ローマ教皇庁)を訪れた安倍晋三首相と会見した。首相は来年の訪日を招請、教皇は「ぜひ日本を訪れたい」との意向を示した。
安倍首相は、ベルギーで開催された先進7カ国(G7)サミットを終えた5日午後イタリア入り、翌朝、バチカン(ローマ教皇庁)に教皇を訪問した。
バチカン報道事務所の発表によると、教皇と安倍首相の会談では、日本と教皇庁間の友好関係、特に国内の教育・社会・医療分野などにおけるカトリック教会との協力が想起された。さらに、アジア地域と国際情勢上のテーマとして、アジアの平和と安定を推進する取り組み、アフリカでの協力をはじめ、発展のための日本の国際協力、環境への配慮、核軍縮などが取り上げられた。首相は国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿と外務局長ドミニク・マンベルティ大司教とも会談した。
教皇フランシスコが日本の首相と会見するのは今回が初めて。日本の首相のバチカン訪問としては、2009年7月のベネディクト16世と麻生太郎首相との会見以来5年ぶり。
アジア・ニュースによると、安倍首相は和鏡を教皇に贈った。光を当てると、その反射光の中にキリスト像が浮かび上がるこの金属鏡は、日本のキリスト教禁教時代、隠れキリシタンが使っていたのと同様の技術で作られたもの。
首相が贈り物に和鏡を選んだのは、教皇フランシスコが「日本に司祭はいなくなってしまいました。・・・250年の後、日本に宣教師が戻った時・・・、何万人ものキリスト者が隠れ場所から出てきたのは、洗礼のおかげで生き残った」と述べたのを憶えていたからだという。
首相はまた、1615年、慶長遣欧使節としてローマを訪問した支倉常長と、その時、使節と会見した教皇パウルス(パウロ)5世の肖像画2枚を贈った。2015年は同使節のローマ到着から400年にあたる。
教皇からは、聖ペテロの肖像が描かれたメダルが首相に贈られた。
教皇と会見した際、安倍首相は、2011年に日本を襲った津波の被害者に教皇が慰めメッセージを贈ったことに感謝を表明した。
報道事務所の発表では触れられていないが、安倍首相は教皇に来年の訪日を招請、教皇は「ぜひ日本を訪れたい」との意向を示した。
首相は、「隠れキリシタン」の存在が明らかになって、来年で150周年になることから「こうした節目に来ていただきたい」と招請した。
首相はまたアフリカ支援について、力を入れていく考えを表明。教皇は「アフリカは大きな問題。弱者も健康な暮らしを送れるようにする取り組みが重要」と述べた。