セルビア正教会のイリネイ総主教は15日、首都ベオグラードの大聖堂で、同教会の主教らが集まる中、同国で洪水を引き起こしている雨が止むように求める祈りを執り行った。同教会が公式ウェブページで伝えた。
同国ではバルカン半島中の川が大雨で洪水を引き起こし、学校が閉鎖、電力が寸断されたため、同国は15日に国家非常事態を宣言したと、正教会のニュースメディア「プラブミル」がAPTNからの情報として伝えた。ロイター通信は、豪雨の被害が拡大し、死者は40人を超え、ボスニア政府は19日、同国の被災者が100万人以上に上ると発表したと伝えている。
プラブミルによると、イリネイ総主教はバルカン半島の洪水による影響を受けた人たちに対する助けと注意を求めたという。
また、プラブミルが17日に伝えたところによると、セルビア正教会は洪水の被災地域への支援として1000万セルビアディナール(RSD、約1200万円)を寄付するとともに、被害からの復旧のために特別基金を設置するという。
また、国際正教慈善協会(IOCC)は英文ウェブサイトで、セルビアとボスニアの洪水被災者への支援を呼びかけている。IOCCは洪水で生き残った人たちの緊急のニーズに応えようと、セルビア正教会の人道支援組織である「フィランソロピー」やセルビア赤十字とともに活動しているという。
IOCCが19日に同ウェブサイトで伝えたところによると、IOCCは仮設シェルターに移送された避難民のために、交通の支援やキルトを提供している。洪水がセルビア中部の都市であるクラリェボや西部の都市であるシャバツ一帯で引けば、IOCCは遠隔地の町や村で暮らしている家族に到達でき、彼らが最も緊急に必要としているものに応えるための活動ができるという。
一方、教会の国際的な緊急支援組織であるACTアライアンスは、16日付でセルビアとボスニア・ヘルツェゴビナで起きた洪水の被災者に対する緊急人道支援を呼びかけた。
ACTアライアンスによると、セルビアとボスニア・ヘルツェゴビナは極度の豪雨や強風、および低温による被害を受けている。13日には1平方メートルあたり110リットルの雨が16日の朝までに降った。記録的な洪水がボスニア・ヘルツェゴビナ北部全体とセルビア全土に起き、水位が急速に上がり続けたという。
一方、ローマ教皇は18日、バルカン半島、特にセルビアとボスニアを襲った洪水の犠牲者の冥福と、すべての被災者のために祈った。また、セルビアとボスニア・ヘルツェゴビナのカトリック救援組織であるカリタスは19日、食料や衣類、衛生用品一式を被災者に提供していると英文ウェブサイトで伝えた。