世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事やセルビア正教会のイリネイ総主教は、このほど、すべての教会やキリスト教徒に対し、ウクライナのために祈るよう呼びかけた。また、東方正教会のバルトロメオ1世・エキュメニカル総主教は13日の聖枝祭にウクライナに関する平和のメッセージを発表した。
WCCが17日に発表したところによると、トゥヴェイト総幹事は、ウクライナの平和と、スイスのジュネーブでいま行われている和平会談の成功のために祈るよう求めたという。
また、正教会のニュースメディア「プラヴィミール」によると、イリネイ総主教は、16日にすべてのキリスト教徒に向けたイースター(復活祭)のメッセージで、「中東とウクライナの兄弟姉妹たち」のためにとりわけ祈っていると述べ、自らの祈りとイースターの祝日が「聖なる正教に対して他人の憎悪を駆り立てる人たちの心を啓発する」よう願うとした。
バルトロメオ1世は、「信仰熱心なウクライナの人々」へのメッセージとして、「平和のきずなで結ばれて、霊による一致」(エフェソの信徒への手紙4章3節)を保つよう、強く勧めた。そして、「この聖枝祭に、聖なる使徒の言葉があなた方を満たすように」として、フィリピの信徒への手紙4章7節を引用し、「あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう」と述べ、「慈しみとあらゆる慰めの神がウクライナと正教、そしてすべての神の民を救い祝福してくださるように。アーメン」と結んだ。
一方、緊張が続くウクライナ東部のドネツク地域教会・宗教団体協議会は、行政機関に対する声明文を発表し、「いわゆるドネツク人民共和国の分離主義勢力による狂った外国人嫌いと徹底的な反ユダヤ主義」の示威行動を止めさせるよう要求した。ウクライナ宗教情報サービス(RISU)が17日に伝えた。
同協議会はドネツク地域の人権と自由の分野における状況を監視し続けるとともに、関連当局や国際的なものを含むあらゆる人権団体に、いかなる侵害をも知らせ、またドネツク地域の秩序を確保するためにその他の合法的な行動に訴える」と、同協議会の代表者たちは述べているという。
ドネツク州のスラビャンスクで庁舎を攻撃した戦闘員たちが地元の正教会施設によって保護されたという一部の報道がなされたのに対し、ウクライナ正教会キエフ総主教庁のチェルニヒフ・イェフストラティ大主教は、自分たちが保護したのは平和的な学生たちであって武装した戦闘員たちではないと述べた。RISUが16日に伝えた。
一方、RISUが16日に伝えたところによると、ウクライナ正教会・キエフ総主教庁のフィラレート・デヌィセンコ総主教は、信徒や聖職者に向けて発表したイースターのメッセージで、ウクライナの「復活」を語ったという。
「今年はウクライナの国民が大きな試練を経験した。自国の核兵器を放棄した平和を愛する我が国民がロシアの侵略に直面している。私たちの領土がもつ統合性や安全を保障する国が侵略を犯したのだ。神は不義の側におられるはずがなく、だからウクライナ国民の敵は失敗する運命にある」と同総主教は述べた。
「カルバリで、救い主キリストは苦しんで死に、しかし彼は復活して悪を打ちのめした。そしてそれは全ての不義や悪に対してもそうなるであろう。主はウクライナが復活するのを助けてくださるであろう」と同総主教はメッセージで述べた。
また、ウクライナ・ギリシャ・カトリック教会のスヴィアトスラヴ・シェフチュク首位大司教も、イースターのメッセージで、「今日、私たちは武器で脅かされており、私たちの国は分裂の危険にさらされており、教会も差し押さえられてしまう危険にさらされている。しかしキリストはいま私たちとともにおられる!彼は私たちの痛みをそれがまるでご自身を打つかのように受け止めてくださる」などと述べた。
その上で、同首位大司教は、「復活にいて善が悪に打ち勝つように、私たちの歴史においても愛が敵意や嫌悪に打ち勝ち、平和が戦争のあらゆる脅威に打ち勝つのだ」と結んだ。
また、15日にRISUが伝えたところによると、ウクライナ南東部の都市ザポリージャでは、平和のための祈りが10の言語で行われたという。同市中心部では分離主義者たちが連邦化を支持して親ロシア派の集会を開こうとした。ところが、ザポリージャの自衛団とウクライナの活動家たちがこの集会を止めさせ、分離主義者たちを取り囲んだ。警察の非常線によってこれらの政治的な反対派が7時間以上分け隔てられたが、広場の活動家たちがその非常線の向こう側にいる分離主義者たちに向けて小さな硬貨や卵、小麦粉を投げつけた。
夜には、ローマ・カトリックとギリシャ・カトリック、正教の司祭たちが、警察の非常線の真ん中へ来て自衛団らと話し合いを行い、親ロシア派の活動家たちが危害を加えられることなく確実に警察署へ連れて行かれるようにしたという。
一方、カトリックのニュースメディア「アジア・ニュース」が15日に報じたところでは、ウクライナ正教会モスクワ総主教庁ボルィースピリおよびブロヴァルィーのアトニー府主教が、「我々はウクライナから領土を奪いそれらを他の国家へ含めようとする試みを強く非難する」と語り、「この理由のために、我々はハルキウやドネツク、ルハーンシクでの抗議行動を深く憂慮する。我々はそれらが我々の国家に対する本当の脅威であると考える」と述べたという。
その一方で、ロシアの視点から報道しているニュースメディア「RT」が14日に報じたところによると、ウクライナのオデッサにあるロシア正教会の上級聖職者で教区秘書を務めるアンドレイ・ノヴィコフ氏は、ロシアよりの活動家であるアントン・ダヴィドチェンコ氏の事件との関連でウクライナ国家保安庁が同氏に近づいてきた後、ウクライナ政府による迫害を逃れてウクライナを離れモスクワへ逃げることを余儀なくされたという。同氏はまた、政変を押し付けられた政権は、ロシア正教会が同国内にいてほしくないため、ウクライナでは信者の権利が侵害されていると語ったという。
プラディミールは、ロシア正教会のキリル総主教が3月14日、「ロシアとウクライナに戦争がないようにと望む」と述べたと報じていた。その一方で、同メディアは4月8日、同総主教がウクライナの出来事を1917年にロシアで起きた十月革命にたとえたとも報じた。
一方、米国NBCなどが同国時間の15日付で伝えたところによると、シカゴにあるヴォロデイミール・オルハ・ウクライナ・カトリック教会の外で花火が放たれ、同教会が枝の主日に何者かによって狙われたという。一方、カナダのオンタリオ州南部ブランプトンでは5日、聖エリアス・ウクライナ・カトリック教会が火事で全焼したが、地元の消防関係者は放火がその原因ではないとしている。