米カリフォルニア州のカトリック教区が、聖職者による性的虐待を巡る訴訟に対応するため、米連邦破産法11条に基づく申請をすることを明らかにした。
破産申請の方針を発表したのは、同州中部のフレズノ教区。ジョセフ・V・ブレナン主教は28日、公開書簡(英語)を発表し、同教区では2022年末までに、聖職者による性的虐待を巡り154件の訴訟が起こされたとし、8月にも破産申請することを明らかにした。
最初の数件の訴訟で教区の資金が枯渇することを避け、全ての被害者に対し公平な補償を提供するためだという。破産申請するのは教区のみで、運営法人が異なる小教区(教会)や教区内の学校、各種団体の働きを中断させることなく、継続させる狙いもある。
ブレナン主教は、破産申請することで「被害者が集団で起こした相当数の訴訟に対処できるようになり、これらの訴訟に、誠実に思いやりをもって公平に対処することができます」と説明している。
カリフォルニア州では19年、20年から22年までの3年間に限り、性的虐待事件の時効を廃止する法律が成立。過去にさかのぼって提訴できるようになり、州内の多くのカトリック教区が多数の訴訟に直面することになった。
米カトリック系メディア「クラックス」(英語)によると、この法律に基づき、同州ではカトリック教会に対する訴訟が推計で約3千件起こされている。また、州内では既に、サンフランシスコ大司教区、オークランド、サンディエゴ、サンタローザ、サクラメントの各教区が、訴訟に対応するため破産申請している。
性的虐待事件の時効を一時的に廃止する法律は他州でも導入されている。そのため、ロチェスター教区(ニューヨーク州)やハリスバーグ教区(ペンシルベニア州)など、カリフォルニア州外でも破産申請するカトリック教区が相次いでいる。