ポルトガルの独立調査委員会は13日、同国のカトリック教会で1950年以降、未成年者4800人以上に性的虐待が行われたことを示す事例を確認したと発表した。確認された事例の大半は既に時効となっているが、25件は検察当局に移送された。
英公共放送BBC(英語)によると、独立調査委は昨年、同国のカトリック教会の司祭や関係者から虐待を受けたとする人々に聞き取りを実施し、計564件の証言を記録した。これらの証言の多くは、証言者以外が受けた虐待も示しており、70年余りの間に少なくとも4815人の未成年者が性的虐待を受けたとされる。
NHKによると、被害者の大半は当時10~14歳の少年だった。記者会見に参加したバチカン(ローマ教皇庁)の幹部は、判明した事例は氷山の一角だとする見方を示し、被害者の声を聞き、加害者に責任を取らせる方法を考えると強調した。
英ガーディアン紙(英語)によると、ポルトガル・カトリック司教協議会(CEP)会長のホセ・オルネラス司教は、「(独立調査委による)この困難で劇的な仕事に満足しており、これが新たな始まりとなることを望んでいる」と述べ、「犠牲者への思い」を表明した。
同協議会は3月3日に臨時総会を開催し、独立調査委の報告書を踏まえた対応を話し合う予定。
カトリック教会の聖職者や関係者による性的虐待は世界中で明らかになっている。フランスでは1950年以降、約3千人の聖職者が性的虐待に関与し、被害者は21万6人に上るとする独立調査委の報告書が2021年に発表されている(関連記事:フランスのカトリック教会、70年間で聖職者3千人余りが性的虐待 独立調査委が発表)。
同紙によると、ポルトガルやフランスの他、オーストラリア、ドイツ、アイルランド、オランダでも、カトリック教会の聖職者や関係者による性的虐待の実態を把握する調査が行われている。