中国北東部・大連の甘京子区人民法院(地方裁)は12日、闞小勇(カン・シャオヨン)牧師と妻の王鳳英(ワン・フェンイン)さん、教会ボランティアの女性4人を「邪教を利用して法執行を妨害した罪」(邪教罪)などで有罪とし、闞牧師に対しては6人の中で最も重い懲役14年を言い渡した。闞牧師はオンライン宣教で成功を収めていた牧師で、重刑の言い渡しは、その働きを阻止するためだと指摘する声が上がっている。
在米対中キリスト教人権監視団体「チャイナエイド」(対華援助協会、中国語)によると、王さんには懲役4年、教会ボランティアの女性1人には懲役10年、他3人は懲役3年、執行猶予4年が言い渡された。
対中人権監視ニュースサイト「ビター・ウィンター」(英語)によると、現在65歳の闞牧師と63歳の王さんは、共に中国中部・武漢の出身。闞牧師は中国共産党と関係のある家系の御曹司で、成功した実業家だった。一方、王さんは学教教員で、バレーダンサーとしても活動していたという。しかし2018年に、それまでの世俗的なキャリアを捨てて大連に移住。キリスト教のオンラインプラットフォーム「門訓家園(弟子の家)」を設立し、フルタイムで宣教に携わるようになった。
「門訓家園」は成功を収め、中国政府非公認のプロテスタント教会(家の教会)の関係者の間では、全国的に知られるようになった。そうした中、21年10月に闞牧師と王さんの自宅が家宅捜索され、6人は逮捕された。
甘京子地方検察庁はその後、詐欺罪と違法営業罪も追加して訴追。京子区人民法院で昨年5月から同10月にかけ審理が行われた。
闞牧師は当初、懲役20年以上、王さんは懲役15~18年を言い渡される可能性があったが、詐欺罪については無罪とされ、量刑が押さえられた。しかし、それでも関係者らは「弁護が成功したように見えるかもしれないが、実際は誰も有罪ではない」と話している。
関係者らによると、闞牧師らは法廷で、警察が取り調べ中に、自白を引き出すため拷問したと証言。闞牧師は革靴で頭を殴られ、王さんは地面に土下座させられた上、足を蹴られるなどし、6人全員が2~3時間の拷問を受けたと話した。これに対し検察側は、法廷で反論することはなかったという。
北京の「家の教会」の長老である徐永海(シュー・ヨンハイ)さんが米公共ラジオ「自由アジア放送」(RFA、英語)に語ったところによると、中国では近年、人気のあるプロテスタント教会が当局の圧力により分裂を余儀なくされているという。「多くの教会は、数十の小さなグループに分かれないと集会ができず、地下集会は今ではただの家族の集まりになっています」と徐さん。「私たちは今、1980年代~90年代初頭に戻っています」と話した。
チャイナエイドによると、闞牧師らは無罪を求めて控訴する方針。