暫定合意に反する司教任命が行われたとして、バチカン(ローマ教皇庁)が中国を批判する異例の声明を発表したことを受け、中国外交部(外務省)の趙立堅報道官は11月28日、記者団に対して見解を語った。
バチカンは同26日、余江教区(江西省)の彭衛照(ポン・ウェイチョウ)司教を、バチカンが認めていない「江西教区」の補佐司教とする「任命式」が行われたとして、中国を批判する声明を発表した。
両国は司教の任命権を巡って1951年から断交しているが、2018年に司教任命に関する暫定合意を締結し、歩み寄りを見せていた。しかし、バチカンは声明で、彭司教の補佐司教任命は暫定合意に反するとし、「同様の出来事が繰り返されないことを望む」と表明していた(関連記事:バチカン「驚きと遺憾」、中国を批判 司教任命の暫定合意に違反)。
ロイター通信(英語)によると、趙氏は28日の定例記者会見で、バチカンの声明について質問を受け、「ご指摘の具体的な問題については承知していない」とコメント。その上で、次のように語った。
「私が強調したいことは、中国とバチカンは近年、連絡のやりとりを維持しており、また重要なコンセンサスに至っているのであり、中国とバチカンの関係は改善し続け、それは中国のカトリック教会の調和の取れた発展を促進するということである」
その上で、「中央政府は、バチカン側との友好のコンセンサスを継続的に拡大し、暫定合意の精神を守るために協力することを望んでいる」と語った。
暫定合意の有効期間は2年間で、これまで20年と22年の2回にわたって延長されている。特に直近の延長は、10月末に発表されたばかりだった。合意の内容は非公表だが、中国側が司教の候補を選出し、教皇が任命するものと考えられている。