香港の西九龍裁判所は25日、2019年の香港民主化デモの参加者らを支援する「612人道支援基金」に関与していた元カトリック香港司教の陳日君(ジョセフ・ゼン)枢機卿(90)ら6人に対し、有罪判決を言い渡し、罰金の支払いを命じた。
米CNN(英語)によると、陳枢機卿やポップ歌手の何韻詩(デニス・ホー)氏ら5人は罰金4000香港ドル(約7万円)、基金の書記であった施城威(スゼ・チンウィー)氏は罰金2500香港ドル(約4万5千円)の支払いを命じられた。
陳枢機卿は裁判所の外で記者団に対し、「海外の多くの人々が、枢機卿が逮捕されたということで懸念しているのを見ましたが、これは信教の自由とは関係ありません」とコメント。「私は基金の一員です。(香港では)信教の自由は損なわれていません」と述べ、今回の判決について、信教の自由と関連付けることを望まない考えを示した。
陳枢機卿ら6人は5月、外国勢力と共謀したとして、2020年6月に施行された香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑で逮捕された。しかし、香港警察は同法違反の罪では起訴せず、基金の登録が適正ではなかったとして、より軽微な社団条例違反の罪で起訴していた。
CNNによると、同条例は約100年前の英国植民地時代に制定されたもの。国安法違反罪の場合、最高刑は終身刑だが、同条例違反罪の場合、初犯では収監されることはなく、罰金も最高で1万香港ドル(約18万円)にとどまるものだった。
陳枢機卿ら6人は全員、無罪を主張していた。
陳枢機卿はアジア最高位のカトリック聖職者の一人で、長年にわたって香港の民主化運動を支えてきた。そのため、逮捕時には世界的な注目を集め、バチカンのマテオ・ブルーニ報道官は当時、「陳枢機卿の逮捕のニュースを、懸念を持って受け止めており、細心の注意を払って状況の推移を見守る」と述べていた。