ウクライナ西部の教区を担当するカトリック司教は、昨年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以来、戦火を逃れて避難してくる数十万人の人々を助けることに力を注いでいると語った。
ウクライナ西部ザカルパッチャ州にあるムカチェボ教区のミコラ・ルチョク補佐司教は、カトリック系支援団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN)に対し、同州ではカトリック信者の家庭の半数近くが、この戦争によって避難してきた人々を受け入れていると語った。
ムカチェボ教区は、こうした国内避難民により多くの避難場所を提供するため、教区が所有する建物の一部を宿泊施設に変えたという。
戦闘の多くはウクライナ東部と南部で起こっているが、多くの人々が戦火を逃れるため、これらの地から西部へ移動してきたため、現在進行中の戦争は、ウクライナ最西部に位置するザカルパッチャ州にも大きな影響を与えている。
「そのため、あらゆることを日常的に機能するよう再編成しなければならないことが、課題の一つとなっています」とルチョク司教は話す。
ACNは、ムカチェボ教区の活動の一部を支援している。昨年冬には、空爆で地元の発電所が稼働停止した際、発電機と蓄電池システムを提供した。
ムカチェボ教区はまた、ACNからの追加資金を用い、兵士や戦闘で愛する人を失った人々など、戦争の影響を受けた人々にカウンセリングを提供する団体を支援している。
ルチョク司教は、戦争によって受けた「深い心の傷」を癒やすためには、メンタルヘルスに関わる支援が不可欠だと話す。
ルチョク司教は、教区内の人々を何度も司牧訪問する中で、戦争が人々に与える被害について、直接話を聞いてきた。
「苦難の一面は、終わりが見えないことです。人々は精神的に疲労しています。そして、戦争で肉体を負傷した人々もいます」
ルチョク司教は、「以前はどうだったか、なぜ苦しみが終わらないのかをくどくど考える」のではなく、「祈りに浸り、キリストの十字架の犠牲の意味と力に思いをはせる」ことが重要だと語った。
「失ったものに目を向けるのではなく、自分の十字架を背負い、他者を助ける方法を見つけることに集中すべきです」
「自分の苦しみではなく、どうすれば他の人々を助けることができるかを考えれば、人生はもっと楽になります。私たちは、平和であろうと戦争であろうと、持てる力の限りを尽くして互いに仕え合うことを学ばなければなりません。恐れは私たちの心を神の恵みに対して閉ざしてしまうからです」