昨年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以来、ウクライナからの避難者に対し幅広い支援を行っている日本YMCA同盟が、出入国在留管理庁の菊池浩長官から感謝状を授与された。
日本YMCA同盟は侵攻開始直後の昨年3月から、欧州のYMCAと協力するなどして、国外避難を希望するウクライナ人の出国・来日を支援。来日後も、日本での生活を支えるさまざまな形態の生活支援や伴走支援を行ってきた。
同庁の発表によると、日本に避難してきたウクライナ人は2月末までに2308人。このうち、日本YMCA同盟が支援に携わるウクライナ人は、関係省庁や東京都との連携もあり、4割を超える1023人に上る。
今回の表彰は、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」に基づき、同庁など関係省庁が進める取り組みの一環。3月29日に日本YMCA同盟の事務所を訪問した同庁在留支援課の渡邉浩司課長は、「今後も官民連携して多文化共生社会を築きたい」と期待を示した。
日本YMCA同盟はこれまで、侵攻開始直後は、来日した避難者の空港出迎えや国内移動の補助、ホテル隔離や住宅案内などの支援を中心的に実施。昨年5月からは、住宅手配や保育園探し、日本語学習の機会提供など、日本での生活をスタートするための支援を展開してきた。
昨年7月からは、個別訪問を実施し、ヒアリングによるニーズ把握と支援策のマッチング支援を開始。各家庭に対する個別支援は、キャリア相談やハローワーク・病院同行、子どもの宿題サポート、体調不良につながる心のケアの取り組みなど、多岐にわたる。そして、昨年12月からは、中長期滞在・定住のための支援も始めた。
また、今年4月には、東京都新宿区の事務所に「YMCAウクライナ文庫」をオープン。ウクライナ語の絵本や小説、ウクライナ語訳を付けた日本の絵本や医療用語集、日本語学習の参考書、今回の戦争をテーマにした評論や思想書など、さまざまなジャンルの本約500冊を展示し、貸し出すことを始めた。
日本YMCA同盟は、「最小限の荷物で来日した避難者にとって、母国の言葉、文化に触れるかけがえのない場となり、本の重みや手触り、ページをめくる期待感に、世代問わず喜びの声が上がっています」と伝え、「避難生活の長期化を余儀なくされる中、YMCAは『Quality of life(生活の質)』の向上のために、教育・文化などの視点からもさまざまな取り組みを行っていきます」としている。