永岡桂子文部科学相は22日、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)に対し、宗教法人法に基づく「質問権」を行使した。今後、回答内容や調査の結果、「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に該当し得る事実関係を把握した場合、旧統一協会に対する解散命令を裁判所に請求することになる。
質問権は、宗教法人に法令違反などが疑われる場合、所轄庁が報告を求めたり、質問を行ったりできる権限。オウム真理教の事件を受け、1995年の宗教法人法改正で盛り込まれた。翌96年の施行以来、今回が初めての行使となる。所轄庁は、宗教法人の所在地などによって、都道府県知事または文科相とされており、旧統一協会の場合は文科相となる。
永岡氏は22日の記者会見で、文科相の諮問機関である宗教法人審議会が21日、質問権の行使について「相当」とする答申をしたと説明。「法人の組織・運営に関する規定文書」と「収支・財産に関する書類・帳簿」の報告を、12月9日を期限に求めるとした。
一方、具体的な報告徴収・質問内容については、「質問権の効果的な行使となるよう、公表は差し控える」とした。また、宗教法人審議会で十分に議論されたとして、今回の質問権の行使は、信教の自由に接触するものではないとする考えを示した。
永岡氏は、質問権を行使する意向を表明した11日の記者会見で、違法な勧誘による献金など、旧統一協会や信者の不法行為を認めた民事裁判の判決が22件あり、損害賠償額が累計で少なくとも14億円に上ることを、行使の理由として挙げていた(関連記事:旧統一協会に「質問権」行使、文科相が表明 年内にも初の調査へ)。
22日の記者会見では、「質問権の行使のほか、関係者からの情報収集、分析を進め、具体的な証拠や資料を伴う客観的な事実を明らかにしたい」と話した。