7月の参院選比例選で初当選した牧師の金子道仁氏は21日、キリスト教メディア関係者との懇談会を開き、目標として掲げる教育バウチャー制の導入について、「6年間(の任期)でどうしても実現を見てみたい。全力でやっていきたい」と意気込みを語った。
教育バウチャー制とは、子どものいる家庭に対し、教育に使用目的を限定したクーポン(バウチャー)を交付した上で、保護者や子どもが自由に学校を選択し、学校が集まったバウチャーの数に応じて政府から運営費を受け取るという仕組み。金子氏が教育バウチャー制の導入を目指す背景には、キリスト教会が運営するフリースクールなど、全国の小規模な学習現場が経営難にあえぐ現状がある。自身も20年以上にわたりフリースクールの現場を経験してきた。
「実際には、われわれが生徒を受け入れ、その子たちを指導している。でもその子たちの分の助成金は、籍だけを置く学校側に下りるといういびつな形になっている。実質的に子どもたちの教育に責任を負っているところに予算措置がなされるべきで、バウチャー制は必要」と訴えた。
懸念するのは、バウチャー制導入後に、利益だけを追求するような業者が多く参入することで、安定した教育機会の確保が難しくなる点だ。「たとえ収支が合わなくても、自分たちの働きが本当に社会にとって必要だと考える人たちが活動を続けられるような制度設計にしていきたい」と語った。
全国的な不登校者数増加への対応は、喫緊の課題だ。「自治体も見て見ぬふりができなくなってきている。多様な教育機会を学校の先生や親が考えて選択できるようにしていくことが、日本社会の活性化につながるはず」と期待を語った。
所属する日本維新の会からは、外交防衛委員会と拉致問題等特別委員会の委員に任命された。外交防衛に関しては、元外交官としてのキャリアがある。「委員に加わらせていただいたことにどういう意味があるのか祈りながら、やるべきことをしていきたい」と話した。
さらに、旧統一協会問題に対応する党のタスクフォースにも、自ら手を挙げてメンバーに加わった。「1年生の議員ではあるが、宗教法人に関わりを持つ者として、牧師として、キリスト教会がずっと旧統一協会の問題に関わってきた経緯を踏まえて、発言すべきことがあるのではないかという思いで加わった。(旧統一協会の)中におられる方々が、最終的に社会に戻ってこられるところまで対策を進めていきたい」と語った。
また、草の根の社会福祉活動を応援するため、活動開始を目指す人々への情報提供や、すでに活動している団体間の情報共有や意見交換を目的としたセミナーを主催。20日には、長岡聖契キリスト教会の日吉真実牧師を講師に迎え、子ども食堂のスタートアップ・連携セミナーをオンラインで開催した。10月は里親や特別養子縁組など、養護が必要な子どもたちの支援、11月はフードバンク、12月は発達障害の子どもたちの支援をテーマに開催を予定している。
セミナーには特に、キリスト教会関係者の積極的な参加を呼びかけている。「教会こそ、社会貢献の分野で最も可能性があり、かつ活用されていないアセット(資産)。アガペの愛を持っている教会の方々が、信仰と自信を持って社会の中でいろんな活動に取り組んでいけたら、もっと地域社会に貢献できるはず」と話した。
牧師として、福音を語る使命も大切にしている。「私は牧師で、キリスト教会は宣教することが一つの使命だと明確にお伝えしているので、機会があればいつでも話せる準備をしています。『小さい者の一人にしたことはわたしにしたのです』と主が言われるような働きに、忠実に取り組んでいくことを通して、私はリバイバルが、多くの人に福音を語るチャンスが広がっていくと信じています」と語った。