永岡桂子文部科学相は11日、閣議後の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)に対し、宗教法人法に基づく「質問権」を行使し、調査を始めると表明した。質問権は、オウム真理教の事件を受け、1995年の宗教法人法改正で盛り込まれたもので、今回初の行使となる。国内メディアが一斉に報じた。
NHKが文科省の発表として伝えたところによると、旧統一協会については、違法な勧誘による献金など、協会や信者の不法行為を認めた民事裁判の判決が22件あり、損害賠償額は累計で少なくとも14億円に上る。このうち、協会による組織的な不法行為を認めた判決は2件で、20件についても協会の使用者責任を認めているという。
永岡氏は、これらが質問権行使の基準に該当すると判断したと説明。11月中にも文化庁が質問案を作成し、文科相の諮問機関である宗教法人審議会の了承を得た上で、年内のできるだけ早い時期に質問権を行使し、調査を行う考え。
毎日新聞によると、調査の迅速化を図るため、旧統一協会からの回答を待って次の質問を出すことはせず、次々と質問を繰り返す方針だという。宗教法人法は、質問に答えなかったり、虚偽の報告をしたりした場合、10万円以下の過料を科す罰則を設けている。
調査の結果、宗教法人法が定める解散命令の要件に該当していると判断した場合、文科相は裁判所に解散命令を請求。裁判所が認めた場合、旧統一協会は宗教法人としては解散し、税制上の優遇措置などが受けられなくなる。ただし、宗教法人が解散となっても、任意の宗教団体として活動を継続することはできる。