世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の問題に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は11日、協会に対し宗教法人法に基づく解散命令を請求するよう、永岡桂子文科相や葉梨康弘法相らに求める公開の申し入れ書をホームページに掲載した。
申し入れ書は、文化庁が解散命令の請求に対し消極的な姿勢を示していることについて、「誤りであり、不当である」と主張。文化庁の姿勢は、「宗教法人に対する税制上の優遇=事実上、国から宗教法人への助成金となっている、という視点が欠如している」と指摘している。その上で、旧統一協会が税制上の優遇措置を受けるに値するかという観点で積極的な検討を行うべきだとしている。
また、旧統一協会に関わる刑事事件の資料は、協会の組織性、悪質性を裏付ける上で重要な資料となるが、文化庁には存在しないと考えられると指摘。資料を分析し、手口の共通性や協会の組織性を立証するためには「検察官の目が欠かせない」として、申し入れ書は甲斐行夫検事総長にも宛てている。
宗教法人の解散命令は、宗教法人法第81条1項に定められている。所轄庁や利害関係人などの請求により、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」などを理由に、裁判所が解散を命令できる。
命令を受けた宗教法人は解散となり、税制上の優遇措置が受けられなくなる。一方、任意の宗教団体として活動を継続することはできる。
これまでに解散を命じられたのは、オウム真理教と和歌山県に本部があった明覚寺の2つの宗教法人のみ。
オウム真理教は、1995年に地下鉄サリン事件を起こしたことを受け、東京地方検察庁と東京都が解散命令を請求。96年に命令が確定した。明覚寺は、霊視商法で多額の金銭をだまし取ったとして、教団トップらが詐欺罪で逮捕されるなどしており、文化庁が解散命令を請求。2002年に命令が確定した。
この他、静岡県に本部があった法の華三法行は、「足裏診断」と称する個人面談で多額の金銭をだまし取り、教団トップらが逮捕されるなどしたが、文化庁が解散命令を請求する前に破産宣告が下され、解散している。