英国のリシ・スナク元財務相(42)が25日、チャールズ国王の任命を受け、新首相に就任した。
アフリカ出身のインド系移民の両親の元に生まれたスナク氏は、英国において初のアジア系かつ初のヒンズー教徒の首相。42歳5カ月という年齢は、英国の首相としてはこの200年余りで最も若く、下院(庶民院)初当選から7年での首相就任は、現代英国史上最速だという。
新首相を決める与党・保守党の党首選では、ペニー・モーダント下院院内総務(49)が出馬を表明したものの、直前に撤退を表明。再登板が注目されていたボリス・ジョンソン元首相(58)も不出馬を表明したことで、スナク氏が無投票で当選した。
スナク氏は、当選後の国民に向けた演説で、現在は「深刻な経済的課題」を抱えている時期だとし、保守党としても、国としても一致を第一に考えるとし、「誠実さと謙虚さ」をもって奉仕すると約束した。
「英国は偉大な国です。しかし、私たちが深刻な経済的課題に直面していることは間違いありません。私たちは今、安定と団結を必要としています。ですから私は、わが党とわが国を一つにすることを最優先とします。
なぜなら、それこそが、目下の課題を克服し、子々孫々のために、より良く、より豊かな未来を築く唯一の方法だからです。誠実さと謙虚さをもって皆様に奉仕し、英国民のために日々努力することを私は誓います」
英国史初のヒンズー教徒の首相が誕生したことに対し、英国内のキリスト教指導者や教会はどのように反応したのか。
英国国教会のカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは24日、自身のツイッター(英語)で、スナク氏のため、また政治的分裂の癒やしのために祈るよう人々に呼びかけた。
「この国にとって大きな困難と不確実性の時期に、指導者の責任を担うスナク氏のために、どうか私と共にお祈りください。彼と、全ての党指導者が、最も必要とする人々のために結束をもたらし、安定を提供するために、分裂を越えて労することができますように」
英国国教会も同日、「国のための祈り」(英語)を公開。スナク氏と国を導く新たな指導者たちのために祈るよう呼びかけた。
「全能の神よ、あなたは、私たちをあらゆる真理に導くために、あなたの聖霊を与えられました。この国の指導者たちを導き、今後彼らが直面するであろう職務のために彼らを整えてください。私たちの主イエス・キリストによって啓示された、あなたの知恵と平和を彼らにお与えください」
英国福音同盟のガビン・カルバー最高責任者(CEO)も同日、自身のツイッターに、スナク氏のために祈るよう呼びかける投稿(英語)をした。
「私たちの新首相であるスナク氏のために、どうか私と共にお祈りください。リーダーシップとは常に難しいものであり、新首相に就任するのにこれほど困難な時期は想像もつきません。次のステップは何なのか、また次の総選挙がいつ行われるのかも分かりません。しかし今、スナク氏は間違いなく私たちの祈りを必要としています」
英国メソジスト教会は25日、「新首相のための祈り」(英語)を公開。新首相選出の過程にも、神は共にいてくださったとして感謝を表明し、次のように祈りをささげている。
「私たちは新首相、また政府を形作るために召集された人々のために祈ります。私たちの国で権威と影響力を行使する全ての人が、最も苦しんでいる人々の必要に特に注意を払い、全ての人が繁栄しますように。そして、私たち全員が、キリストの無条件で自己犠牲的な愛を反映するような方法で隣人に仕えることができますように」