英北部スコットランドの首都エディンバラにある聖ジャイルズ大聖堂で12日、8日に死去したエリザベス女王を記念する感謝礼拝(英語)が行われた。礼拝には、チャールズ新国王やカミラ王妃ら王室一家に加え、英国のリズ・トラス首相、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相ら、政治家や宗教指導者らが出席した。また、同大聖堂では12日から13日にかけて、女王のひつぎが公開安置され、一般市民数千人が弔問に訪れた。
礼拝では、スコットランド国教会議長のイアン・グリーンシェルズ牧師が説教し、女王の「スコットランドの土地や人々との深いつながり」に感謝の意を表した。
「女王陛下がバルモラル(スコットランドにある王室一家の避暑地)を愛していたことはよく知られており、晩年、そこにいることは陛下に大きな安らぎをもたらしました。バルモラルは、女王陛下が隣人として、友人として大切にされてきた場所であり、夏の間、陛下はそこで力を得、リフレッシュされていたのです」
「また女王陛下は、スコットランドの市民生活に積極的に参加され、さまざまな活動を支援するために各地を巡り、ホリールード宮殿で客人をもてなされ、式典の司会を務められましたが、それらの多くがこの大聖堂で行われました。陛下は1953年、この大聖堂でスコットランドの王冠を受けましたが、この出来事はオークニー人の画家、スタンリー・カーシターの絵によって鮮やかに残されています」
「女王陛下とスコットランドの教会とのつながりも深く、長く続くものでした。陛下は英国国教会の最高統治者でしたが、その境を超えたここ北部で、スコットランド国教会に属するキャノンゲート教会や、とりわけクラシー教会の礼拝に出席されました。晩年ご病気のためそれができなくなるまで毎週日曜日の朝、ご自分の席に座っておられました。陛下は(英国国教会とスコットランド国教会の)2つの教会に所属し、それぞれの強みを理解することに関して、ほとんど困難を覚えなかったのです」
また他の人たちと同様、グリーンシェルズ牧師は、女王の「本物の」キリスト教信仰と、その信仰が「明確かつ誠実に表現」された毎年のクリスマス放送について語った。
「(クリスマス放送で)女王陛下は神への信頼と、彼女ができ得る限り従おうとしたイエス・キリストの模範と教えとを、堂々と語られました。実際、ご自分の信仰について、後悔はないと述べられました。女王陛下が示された、家族、地域社会、分断や相違を越えて手を差し伸べるという姿勢は、短いながらも意義深い(クリスマスの)祝賀メッセージを通して、私たちに明らかになったのでした」
「70年間、彼女は私たちの女王として統治されました。彼女は、キリストの弟子として、教会のメンバーとして、私たちの中にいます。そして、そのこととその他多くのことに対し、私たちは今日ここで共に神に感謝をささげます」
グリーンシェルズ牧師は最後に、即位したチャールズ新国王のために祈り、説教を締めくくった。
「私たちは今日、女王陛下の死を悼むと同時に、彼女と共に経験した長く幸せな治世を祝います。そして、チャールズ国王陛下に神の祝福がありますよう祈ります。国王陛下は間違いなく、母が示した模範から、またここ数日の多くの愛情に満ちた(女王に対する)賛辞から、そして常に忠実に祈り、国王閣下の母である女王陛下に対してしたのと同じように、国王閣下に対しても惜しみなく支援するというわれわれ教会の約束から、力を得られることでしょう」
女王のひつぎは、13日午後に空路でロンドンに移送され、14日から国葬が行われる19日までは、ウェストミンスター宮殿に公開安置され、一般市民の弔問を受ける。そして、19日午前11時(日本時間同日午後7時)から、隣接するウェストミンスター寺院で葬儀が国葬として行われる。