英国国教会のカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーと、カトリック教会のローマ教皇フランシスコは16日、ロシア正教会のモスクワ総主教キリルとそれぞれ別々にビデオ通話による会談を行い、ウクライナにおける平和の必要性について話し合った。
カンタベリー大主教の公式サイトに掲載された声明(英語)によると、大主教は16日午後、総主教とのビデオ通話で、ウクライナで起こっている戦争について「重大な懸念」を表明。ウクライナの平和と速やかな停戦の必要性を強調した。
大主教は、この戦争を「大きな悲劇」と表現し、「戦争や暴力は決して答えではない」と指摘。総主教に対し、共に「公の場で平和のために語る」よう求めた。
「私たちは、その人生と歴史のあまりにも多くの部分を占めてきた侵略と人々の苦しみなしに、欧州の隣人として生きる方法を見つける必要があります」。大主教は、キリスト者は「平和をつくる者」と呼ばれなければならないとし、「政治家たちがウクライナのすべての人々の自由と権利を確立する仕事ができるよう、私たちにできることをしなければなりません」と述べた。
声明によると、両教会の代表者である大主教と総主教は、正義に基づく永続的な平和をできるだけ早期に実現する必要性を強調し、継続的な対話を行うことで合意した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と関係が近いとされる総主教は、ロシアによるウクライナ侵攻を直接批判していないとして、自身も批判にさらされている。
バチカン・ニュース(英語)によると、教皇も16日午後、大主教とは別のビデオ通話で総主教と会談。「私たちは、神を信じる同じ聖なる民の牧者」だとし、「平和を推進し、苦しむ人々を助け、平和の道を模索し、紛争を止める努力において団結しなければならない」と述べた。
教皇は、「戦争の代償を払うのは人々です。それは、ロシア兵であり、爆撃により亡くなる一般市民です」と指摘。「戦争の代償を払うのは神の民なのですから、戦争は常に不当です。私たちの心は、殺された子どもや女性、そして戦争のすべての犠牲者を前に涙するほかありません。戦争は決して行くべき道ではないのです。私たちを結び付ける聖霊は、私たちが牧者として、戦争で苦しむ人々を助けるよう求めています」と伝えた。
モスクワ総主教庁(英語)によると、教皇と総主教は、現在進行中の交渉プロセスの重要性を強調。公正に基づいた平和が可能な限り早期に実現することへの期待を示した。